Googleは人工知能スピーカー「Google Home」の出荷を開始した。会話型AI「Google Assistant」を実装し、言葉で質問すると音声で答える。AssistantはGoogle独自のスマートフォン「Google Pixel」で使われている。Googleは同じアシスタント機能をスマホと家電で展開する。Homeを使うと家の中が一気にインテリジェントになり、AI家電に大きな将来性を感じる。

出典: VentureClef |
音声で操作するスピーカー
Googleは2016年11月、AIを搭載したスピーカー「Google Home」 (上の写真) の出荷を開始した。Homeは会話型AI「Google Assistant」を搭載し、音声がインターフェイスとなる。Homeは丸みを帯びた円柱形のデバイスで家庭内に置いて利用する。HomeはAmazonのヒット商品「Amazon Echo」のアイディアを踏襲している。先行しているEchoをHomeが追う展開となっている。
HomeにOk Googleと語り掛ける
Homeの上部はタッチスクリーンで、ここにLEDライトが埋め込まれている。LEDライトは利用者の声に反応して点滅する。LEDライトの様々な動きでHomeの状態を示す。タッチパネルに指で円を描くように動かすと音量を調整できる。背後にはマイクをオンオフするボタンがある。Homeは常に周囲の声を聞いており、ボタンを押すとこれがオフとなる。Homeに話しかけるときは「Ok Google」と言えば、これに続く言葉を認識する。
複雑な質問に答える
Homeは情報検索で威力を発揮する。ここが他社に比べ大きな優位点となる。例えば「what time will the sun rise」と聞くと、「the sun will rise 6:39 AM」と答える。これは簡単な質問だが、複雑なクエリーにも的確に答える。「What was the US population when NASA was established」と尋ねるとHomeは「174.9 million」とズバリ回答する。(下の写真左側はHomeに問いかけた内容で、右側はAssistantが答えた内容。)

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幅広い知識を持つ
Homeは幅広い知識を持ち、スポーツの試合結果を回答する。「who won the world series」と聞くと「the world series was won by Chicago Cubs」と答える。翻訳機能もあり、「what’s good morning in Spanish」と聞くと「Buenos días」と答える。健康管理では食事の時に食物のカロリー量を知ることができる。「how many calories in an apple」と聞くと、「there is 95 calories in one medium apple」と答える。
会社の秘書のように働く
HomeはGoogle Calendarとリンクし筆者の予定を把握している。このためHomeに「what’s my next event」と質問すると、次の打ち合わせ予定などを回答する。出張などで飛行機を予約している時は、フライトスケジュールを教えてくれる。「is my flight on time」と質問すると、飛行機が予定通りに出発するかどうかを回答する。Homeは会社の秘書のように働いてくれる。
中心機能はエンターテイメント
Homeの中心機能はエンターテイメントで、音楽やニュースをスピーカーで聞くことができる。Homeに「play music by Lady Gaga」と指示するとレディー・ガガの音楽を再生する。聞きたい音楽の題名を指定する時は「play Poker Face by Lady Gaga」と語り掛けるとポーカーフェイスを流す。ラジオ放送を聞きたいときは「Play KCSM」と放送局を指定する。この他に、CNNなどのニュース放送やNFLなどスポーツ番組もそろっている。
テレビを音声で操作する
Homeを使って圧倒的に便利だと感じるのがテレビを音声で操作する機能だ。HomeはGoogleのストリーミングデバイス「Chromecast」経由でビデオや音楽コンテンツをテレビに配信する。音楽を聴きたいときは「play music by Beyoncé on my TV」と指示すると、Google Play Musicからビヨンセの音楽がテレビで再生される (下の写真)。当然だがテレビのスピーカーで聞く音楽はHomeで聞くより迫力がある。

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テレビでビデオをみる
見たい番組を指示すると、HomeはそのコンテンツをYouTubeから探し出し、テレビにストリーミングする。Homeに「play CNN News on my TV」と指示すると、この番組がYouTubeからChromecastを経由してテレビにストリーミングされる (下の写真)。今まではスマホを操作して番組をテレビにストリーミングしていたが、音声操作で格段に便利になった。
まだ複雑な指定はできないが
YouTubeには幅広いコンテンツが揃っていて、人気チャンネル「History Channel」や「National Geographic」などをテレビにストリーミングできる。「trending videos…」と言えばいま人気上昇中のビデオが配信される。但し、見たい番組を細かく指示するのは難しい。例えば、CNBC放送でElon Muskの会見の模様を見るために「play Elon Musk on CNBC on my TV」とHomeに指示するが上手くいかない。まだ、複雑な指定はできないが、これからの機能拡張を期待する。

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検索結果をテレビで見る
Homeを使うと検索結果をテレビに表示することができる。例えば「can you show me Hubble Telescope on my TV」と指示すると、ハッブル望遠鏡についてのビデオをテレビに配信する。知りたい情報をテレビで見ることができ、Homeはエンターテイメントだけでなく教育ツールとしても使えそうだ。
Chromecastをテレビにセット
この機能を使うためには、テレビ側にChromecast挿入しておく (下の写真、円形のデバイス)。ChromecastはAndroidやブラウザーからコンテンツをテレビにストリームングするために開発された。Homeはこの仕組みを利用して、音声でChromecastを操作する。
その際、Chromecastに名前を付けておけば (筆者のケースでは「TV」)、Homeに対して「play CNN on TV」と指示するとストリーミングが始まる。Homeの機能は多彩だが、音声でのストリーミング機能は予想外に便利だ。テレビを含む家電のインターフェイスが会話型AIに進化するのは間違いない。

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スマートホームのハブ
Homeはスマートホームのハブとなり、電灯や空調などを操作する。Homeをスマートライト「Philips Hue」とリンクすると音声でLEDライトをオンオフできる。例えば「turn on living light」と指示すると、リビングルームの電灯が点灯する。HomeがサポートしているスマートデバイスはPhilips Hueの他に、NestやSmartThingsなどがある。
Homeのエコシステムは拡大中
登場したばかりのHomeで使える第三者サービスの数は限られている。音楽ではSpotifyとPandoraを、ラジオではTuneInを利用できる。配車サービスではHomeでUberを呼ぶことができる。Googleの自社サービスではGoogle Play Music とYouTube Musicを使える。ビデオではYouTubeを使うことができるが、前述の通りChromecastをテレビに接続しておく必要がある。
Amazon Echoの優位点はスキル
Google Home (下の写真左側) とAmazon Echo (同右側) はAIスピーカーとして開発され両者の機能はよく似ている。一方、先行しているEchoは幅広い第三者サービス (Skillと呼ばれる) を備えている。今では2000本近いSkillがあり、病気の診断やスマートホームのハブとして使われている。Echoに指示すれば焼き立てのピザが届く。幅広いタスクを実行できる点でEchoがHomeに差をつけている。

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Google Homeの優位点は情報検索
Google Homeは複雑な質問を理解し情報検索できる点が大きな優位点となる。更に、Homeは利用者の個人情報を幅広く把握している。HomeはGoogle CalendarやGoogle Keepと連携し、予定や備忘録を管理する。気の利く秘書のように一日の予定や出張を手助けしてくれる。また、Chromecastとリンクすることで結果をテレビに出力できる。Google Pixelのコア技術であるAssistantを家庭に展開した構造で、Google Homeに大きな将来性を感じる。