本物より美味しい!!合成生物学の手法で生成されたアイスクリーム

食品産業はデジタルトランスフォーメーションを進め、先端技術を応用して食品の生成を始めた。ついに、牛乳を使わないアイスクリームが登場した(下の写真)。これは合成生物学の手法で生成したアイスクリームで、動物性たんぱく質を含まない健康食品として注目されている。実際に、食べてみると、本物のアイスクリームの味がして、次世代の食が生活に入ってきたことを感じた。

出典: Perfect Day

Perfect Dayという新興企業

これを開発したのはEmeryville(カリフォルニア州)に拠点を置く新興企業Perfect Dayで、牛乳を使わないで、植物性の糖を発酵させてたんぱく質を生成する手法を取る。コメに麹を加えて発酵させ日本酒を醸造するように、アイスクリームの元となる牛乳を“醸造”する。このアイスクリームはビーガンアイスクリーム(Vegan Ice Cream)に区分され、菜食主義の人も食べることができる健康食品として人気が高まっている。

アイスクリーム専門店

Perfect Dayはアイスクリーム専門店Smitten Ice Creamで売られている(下の写真)。数多くの種類のアイスクリームが売られているが、Perfect Dayは四つのフレーバーを提供している。

出典: VentureClef

実際に食べてみると

その中で、イチゴアイスクリーム(Fresh Strawberry、下の写真)を食べたが、本物のアイスクリームの味がしてとても美味しかった。ミルク独特のしつこさはなく、さっぱりとした味で、むしろ本物より美味しいかもしれない。多くのビーガンアイスクリームを食べたが、Perfect Dayの完成度は高く、本物に一番近いアイスクリームである。

出典: VentureClef

健康食品としてPR

Smitten Ice CreamはPerfect Dayを健康食品と位置付けプロモーションを展開している。店舗の説明によると、Perfect Dayは動物性たんぱく質(animal milk protein)を含んでいない食品と説明している。また、乳糖(lactose)やコレステロール(cholesterol)やホルモン(hormone)も含んでおらず、健康な食品であることをアピールしている。

たんぱく質を生成する手法

このアイスクリームは牛乳のたんぱく質を発酵のプロセスで生成する。発酵プロセスでは麹のような微生物(microflora)が必要になるが、これを遺伝子編集の手法で生成する。人工的に生成した微生物を植物性の糖(plant sugar)に加えて発酵させ、牛乳を構成するたんぱく質(wheyとcasein)を生成する。生成されたたんぱく質は植物由来であることから「flora-made dairy protein」と呼ばれる。

出典: VentureClef

牛乳を使わない理由

Perfect Dayはアイスクリームの他に、牛乳を使わないチーズやヨーグルトを開発している。Perfect Dayが牛乳を使わないで食品を生成する理由は地球温暖化問題と関係する。乳牛を生育するためには、大量の飼料や水を必要とし、地球環境に大きな負荷をかける。また、牛が排出するガスは地球温暖化の原因となる。食肉や牛乳を畜産の方式で提供する方式は事業として成立しなくなり、合成生物学の手法でたんぱく質を生成する方式が注目されている。

多くのビーガンアイスクリームが売られているが

既に、数多くのビーガンアイスクリームが販売されているが、これらは大豆や麦やナッツのたんぱく質を抽出して作られている。食べてみると植物性たんぱく質の味がして、それ程美味しいとは感じない。あるブランドは麦から抽出したたんぱく質を使っているが、アイスクリームの味はするが、かすかに日本の豆腐の味がして、この手法の限界を感じる。

食生活が充実

これに対してPerfect Dayは牛乳のたんぱく質そのものを合成生物学の手法で生成するので、食べると本物のアイスクリームの味と見分けはつかない。今までは健康に留意してアイスクリームを食べることを控えていたが、Perfect Dayの登場で再び美味しいアイスクリームを食べることができ、食生活が充実した(上の写真)。