Facebookはスマートグラス「Ray-Ban Stories」を発表した(下の写真)。これはFacebookが開発した最初のスマートグラスで、お洒落なデザインとなっている。Ray-Banサングラスにテクノロジーを実装したもので、ファッションに軸足を置く構成となっている。スマートグラスは二台のカメラを搭載し、利用者の視点で写真やビデオを撮影する。FacebookはARグラスの開発を進めており、Ray-Ban Storiesがそれに向けた第一歩となる。

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Ray-Ban Storiesの概要
Ray-Ban Storiesはサングラスに二台のカメラを組み込んだ構造で、写真やビデオを撮影できる。スピーカーとマイクが搭載され、音楽を聴き、また、電話をかけることもできる。価格は299ドルからでRay-Banのサイトで購入する。これはFacebookがEssilorLuxottica(Ray-Banの親会社)と共同開発しもので、米国など六か国で販売が始まった。
カメラと利用方法
スマートグラスはリムの両端に5MPのカメラを搭載している(下の写真)。カメラは利用者の目線で撮影し、日常生活の瞬間(Moments)をとらえるために使われる。撮影するときは右側テンプルに設置されたボタンを押すか、ボイスコマンドを発行する。スマートグラスはAI音声認識機能を備えており、「Hey Facebook, take a video」と語りかけるとビデオ撮影が始まる。写真やビデオを撮影しているときはカメラの隣に搭載されているLEDライトが点灯する。これにより周囲の人はカメラが稼働していることが分かり、プライバシー保護に配慮した設計となっている。

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アプリとの連携
スマートグラスは専用アプリ「Facebook View」と連携して利用する。撮影した写真やビデオはアプリに格納され(下の写真左側)、それを編集してオリジナルなコンテンツを生成する(中央)。生成したコンテンツはFacebookやInstagramやWhatsAppなどソーシャルネットワークと共有することができる(右側)。自社ネットワークだけでなく、Twitter、TikTok、Snapchatと共有することができる。

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Ray-Banのモデル
スマートグラスはRay-Banのモデル「Wayfarer」、「Round」、「Meteor」から構成される。Wayfarerはクラッシックなデザイン(下の写真)で、オードリーヘップバーン(Audrey Hepburn)が映画「ティファニーで朝食を」(Breakfast at Tiffany’s)で使い有名になった。今では歌手のマドンナ(Madonna)などが愛用し、このスタイルが再びブームになっている。Ray-Banと言えばバイデン大統領が愛用している「Aviator」を連想するが、若い世代にはあまり好まれないようである。

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プロセッサなど
スマートグラスは二台のマイクロスピーカーと三台のマイクを搭載している。マイクは特定方向のサウンドをエンハンスする機能(Beamforming Technology)や背景音をキャンセルする機能を持ち、クリアなサウンドを生成することができる。また、テンプルの部分がタッチパネルになっており、指で触って操作する。スマートグラスは専用プロセッサ「Snapdragon」を搭載しており、これらのデバイスをサングラスに組み込んだデザインとなる。
Facebook Reality Labs
スマートグラスはFacebook Reality Labsで開発された。Facebook Reality Labsとは拡張現実(AR)と仮想現実(VR)を研究開発することをミッションとし(下のグラフィックス)、Ray-Ban StoriesはそのAR部門で開発された。VR部門はOculusを核とする組織で、VRヘッドセットを開発している。最新モデルは「Oculus Quest 2」で、PCとの連携を必要としないスタンドアロン型VRヘッドセットとして販売が始まった。

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ARグラス
AR部門は既にAR グラスのプロトタイプ「Aria」を開発した。これは研究開発用のAR グラスで、カメラとディスプレイを搭載し、目の前のオブジェクトを把握するだけでなく、そこにテキストやグラフィックスをインポーズし、現実社会と仮想社会を融合させる。Facebook 社員はAria を着装して施設内や市街地を歩き、グラスのカメラで目の前のシーンを記録し、ARグラス向けのマップを制作している。ARグラス商用版に向けた開発が進んでいるが、Ray-Ban Storiesがその第一歩となる。

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