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Meta(Facebook)はNFT市場に参入か、メタバースでデジタルアセットの販売を計画

Meta(Facebook)は、NFT市場に参入し、メタバースでデジタルアセットを販売することを計画している。NFTとはNon-Fungible Tokenの略で、デジタルアセットなどモノの所有権を示す証文(Token)となる。簡単に複製できるデジタルアセットにNFTを付加し、ブロックチェインで商取引を実行する。デジタルアートが破格の価格で取引され、NFT市場がにわかに注目を集めている。

出典: Meta

MetaのNFT計画

これはFinancial Timesが報道したもので、MetaはNTF市場に参入し、ここでコレクタブルを販売することを計画している。具体的には、Meta配下のFacebookとInstagramは、利用者のプロフィールにNFTを掲載する機能を搭載する。また、利用者が、これらソーシャルメディアで、NFTを生成することもできる。更に、MetaはNFTのマーケットプレイスをオープンし、ここでNFTの売買を行う。実際に、Metaが発表したメタバースには、NFTを購買するシーンがあり(上の写真)、最終的には仮想社会でデジタルアセットの販売で使われる。

NFTとは

そもそもNFTとは、ブロックチェインで構成されるトークンで、デジタルアセットなどの所有権を示す証文となる。NFTのデータは、ブロックチェインの分散データベースで安全に管理される。現在、NFTで使われるブロックチェインは「Ethereum」が殆どで、事実上の業界標準となっている。NFTは、Ethereumのスマート契約機能「Smart Contracts」を使い、インテリジェントに処理を実行する。事前に設定されたルール(契約)に基づき、人間の介在無しに、ソフトウェアが売買のトランザクションを実行する。NFTにより、デジタルアセットの所有権が証明され、デジタルアセットの売買をクラウド上で実行できる。(厳密には、NFTはトークンであるが、今では、NFTが付与されたデジタルアセットもNFTと呼んでいる。)

NFTマーケットプレイス

NFTの市場規模は400億ドルといわれ、その規模が急拡大している。NFTはマーケットプレイスというわれるサイトで売買される。この市場のリーダーは、ニューヨークに拠点を置く新興企業OpenSeaで、NFTブームで急成長している。OpenSeaは、オンラインサイトでNFTを生成する機能を提供しており、クリエータはここでデジタルファイルをNTFに変換する。生成したデジタルアセットをマーケットプレイスに掲載して販売する。このサイトには、デジタルアートやコレクタブルなど、幅広いNFTが掲載されている。OpenSeaはEthereumで構成されたシステムで、売買は暗号通貨「ETH(Ethereum)」などで実行される。(下の写真、OpenSeaに掲載されているデジタルアート、希望価格は2 ETH (5,456.42ドル)で、オークション方式で販売されている。)

出典: OpenSea

NFTの生成方法

NFTは誰でも簡単に制作することができる。OpenSeaのケースでは、作成画面の指示に沿ってデータを入力していくと、NFTを生成できる。イメージやビデオやオーディオなどをNFTに変換することができる。これらデジタルファイルをアップロードして、NFTに変換するプロセスとなる。この処理は「Mint」といわれ、デジタルファイルに所有者を証明するトークンを生成する作業となる。生成されたトークンはブロックチェインに安全に保管される。Mintのプロセスは有料で、利用者は処理費用「Gas Fee」を支払う。生成したNFTをマーケットプレイスで販売するが、作品が売れると手数料を支払う構造となる。

デジタルアートが高値で売れる

デジタルアートが高値で売れ、NFTブームが続いている。先月、NFTマーケットプレイスNifty Gatewayで、デジタルアートが91,806,519ドル(約104億円)で販売された。これはPakが制作した「Merge」という作品で(下の写真)、コンピュータで制作され、デジタルファイルとして売られた。ファイルには証明書NFTが添付され、これがアートの所有権を示す。(「Merge」は312,686のユニットから構成され、28,983人が購入した。一つのデジタルアートが312,686のNFTで構成されるという特異な構成。作品が転売されるごとにトークンがマージ(Merge)し、その数が減り、作品の価値が上がると説明している。)

出典: Merge by Pak

NFT市場の危険性

今では、アートやコレクタブルや写真などがNFTで販売され、デジタルアセットが投資の対象となっている。株式取引とは異なり、NFTへの法規制は無く、トランザクションで詐欺や不正行為が発生しているのも事実である。生まれたての技術で、新しいビジネスモデルが市場で試されている段階で、NFT購入には高度な判断が求められる。

メタバースで都市開発が進む!!仮想社会で新たな経済モデルが生まれる、購入した土地に施設を建設し事業を興す

メタバースで都市開発が始まった(下の写真)。メタバースとは、インターネットに構築された3D仮想社会で、ここに現実社会のように街が生まれている。メタバースで土地を購入し、施設を建設し、ビジネスを興す。テーマパークを建設しアドベンチャーゲームを始める。音楽ホールを造るとコンサートを開催できる。現実社会のデジタルツインともいえる仮想都市で、ビジネスが始まり、メタバースの経済構想が見えてきた。

出典: Sandbox

仮想都市の開発

3D仮想空間で都市開発を手掛けているのはSandboxという新興企業で、メタバースで新しい事業モデルを生み出している。Sandboxは、仮想社会のゲームを通して、メタバースを開発する手法を取る。個人や企業は、仮想社会でゲームやデジタルアセットを開発し、これらを販売することで収益を上げるモデルとなる。

メガシティ

メタバースに大都市「Megacities」が建設され、企業や著名人や個人が土地を購入し、事業を始めている。Sandboxにログインしてマップを見ると、メガシティの見取り図が示される(下の写真)。土地は区画で仕切られ、その大きさは96×96フィートとなる。この区画を単一、または、複数購入することができる。大地主はアイコンで示されている。2021年には、12,000区画の土地が販売され、累計で8,000万ドルの売り上げとなっている。Sandbox全体では、166,464区画整備され、累計で5億ドルの資産を保有していることになる。

出典: Sandbox

自宅を建設

土地を購入すると、ここに自宅を建てて、生活することができる。家屋のデザインを決め、提供されているツールで建物を建設する(下の写真)。屋内には、家具や調度品を配置し、生活できる環境を整える。現実社会と同じように、不動産が値上がりすれば、売って利益を得ることができる。また、著名人の住宅の近くに土地を買えば、値上がりする可能性が高いとも言われる。

出典: Sandbox

事業モデル

人気ラッパーのスヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)は、メタバースに土地を買い(一つ上上の写真、中央部)、ここに大邸宅を建設した(下の写真)。庭には広いプールがあり、愛用しているクルマが駐車されている。ここに友人を集めてパーティーを開くことができる。また、コンサート会場としてライブイベントを開催できる。実際に、スヌープ・ドッグはライブイベントを開催する予定で、そのチケット「Private Party Pass」の販売を開始した。また、スヌープ・ドッグのアバターや、愛用しているクラッシックカーは、デジタルアセットとして販売されている。このように、メタバースでは、土地への投資、イベントの開催、デジタルアセットの販売で、事業を運営する。

出典: Sandbox

メタバース開発ツール

購買した土地に建物を建設し、ビジネスを興すためには、Sandboxが提供しているツールを利用する。これは、「VoxEdit」と「Game Maker」と呼ばれ、コーディングすることなく、オブジェクトを生成することができる。エンジニアでなくても誰でも使える点に特徴がある。

デジタルアセットの開発

VoxEditはデジタルアセット「ASSET」を生成するツール(下の写真)。デジタルアセットとは、仮想のオブジェクトで、アバターや衣服などが含まれる。具体的には、ASSETは4つのクラスから構成され、Entity(人間や動物などのキャラクタ)、Equipment(ゲームで使う刀などの武器)、Wearable(シャツやジーンズなどの衣服)、Art(アートワークなどの装飾品)となる。生成したアセットはNFT(Non-Fungible Token)というトークンに変換される。NFTとはコンテンツの所有者を証明するトークンで、コンテンツの所有権を示す証文となる。これにより、コンテンツの取引が可能となり、メタバースでNFT取引がブームとなっている。NFTに変換されたデジタルアセットは、Sandboxのマーケット「Marketplace」で取引される。

出典: Sandbox

ゲームの開発

Game Makerはメタバースで様々なアクティビティ「Experiences」を生成するツール(下の写真)。アクティビティの中心がゲームで、Game Makerは生成したASSETを使ってゲームを作成する。また、ゲームの他に、NFTを販売するギャラリー「NFT Gallery」や、住民が集う施設「Social Hub」を作成するためにも利用する。また、自宅を建設するときもGame Makerを使う。

出典: Sandbox

ゲームの種類

既に多くのゲームが開発されプレーされている(下の写真)。ゲームは二種類に分類され、アドベンチャーゲーム「Action Adventure」とパズルゲーム「Puzzle Games」となる。前者は敵と戦いながら目的を達するゲームで、後者はパズルを解きながら謎を解明するゲーム。これらのゲームは無料でプレーできるが、ゲーム内でデジタルアセットを購買するモデルとなる。

出典: Sandbox

デジタルアセットの販売

デジタルアセットの販売サイト「Marketplaces」には、数多くのNFTが掲載され、取引されている。これらはVoxEditで生成されたもので、人気キャラクターやグッズを中心に売買されている。メタバース向けのデジタルアセットを開発しているLululandは、ゲーム内で使うWearablesを販売している。白色のスニーカー「White Angel」は777.00 SANDで販売されている。ドルに換算すると$3,760.68となる。「SAND」とはSandboxが開発した固有の暗号通貨で、今日の交換レートは1 SAND = 4.81ドルとなる。

出典: Sandbox

クリエーター経済

これらのゲームやデジタルアセットはSandboxが提供するツールで開発された。ツールはNoCode(ノーコード開発プラットフォーム)で、プログラミングの知識なしに、誰でも簡単に使える仕様となっている。このため、クリエーターやデザイナーやアーティストなどが(下の写真)、これらのツールを使ってゲームを開発し、デジタルアセットを生成している。クリエーターたちはメタバースで事業を興し、収入を得る手段を得た。これは、クリエーター経済「Creator Economy」と呼ばれ、メタバースの新しい経済構想として注目されている。

出典: Sandbox

Sandboxのシステム構成

Sandboxは、ブロックチェイン「Ethereum」に構築された仮想社会。このプラットフォームで、土地やデジタルアセットが売買され、ゲームがプレーされる構造となる。「SAND」はSandboxが開発した暗号通貨で、メタバース内での決済で使われる。「LAND」はメタバースの一部で、「ASSET」はユーザが生成したオブジェクトで、「GAME」はこれを組み合わせたものとなる。これらはEthereumで稼働するトークンで、Sandboxはブロックチェインを基盤とするシステムと位置付けられる。現在のSandboxはアルファ版で、2022年第一四半期に正式製品が公開される。

ハイプかリアルか

メタバースで土地が高値で取引され、アートギャラリーでNFTの販売が好調である。インターネットにメタバース経済圏が出現し、新しいビジネスが続々と立ち上がっている。ベンチャーキャピタルは強気の姿勢で投資を進めている。一方、ウォールストリートは、成り行きをウォッチしているが、慎重なポジションを取っている。メタバースはハイプで終わるのか、それとも、巨大ビジネスとして開花するのか、2022年は節目の年となる。

メタバースで不動産ブーム!!仮想社会で土地取引が過熱し価格が高騰

メタバースで不動産投資が過熱している。メタバースとは、インターネットに構築された3D仮想社会で、ここで現実社会のように土地が売買されている。購買した土地に施設が建設され、街が生まれる。値上がりする前に土地を購入する動きが顕著で、仮想都市で不動産取引がブームとなっている。ただし、メタバースでの土地取引は経験したことのないビジネスモデルで、投資には幅広い視点からの判断が必要となる。

出典: Decentraland

メタバースで不動産投資

メタバースとは、インターネットに構築された3D仮想社会で、ここに人々が集い交流する。この仮想社会で都市開発が始まった。まだ、多くの土地は更地で、ここに商業施設やイベント会場が建設され、街が生まれている。いまここに土地を買っておけば、ビルが建設され(上の写真)、企業が入居し、賃貸収入を得ることができる、という目論見がある。また、将来、土地を高値で売ることもできる。このような背景から、メタバースの不動産投資に注目が集まっている。

メタバースの不動産会社

メタバースで土地を購入するには、”不動産会社”を介することになる。いま、土地ブームで”不動産会社”の数が増えているが、その代表はDecentraland。同社はアルゼンチンの新興企業で、現在は、カナダのToken.comが買収し、傘下で事業を継続している。Decentralandは、インターネット上に仮想社会を構築し、ここで不動産を売買するサービスを提供している。また、仮想社会で都市開発を進め、デベロッパーとしての機能も有している。

メタバースを歩いてみると

実際に、開発が始まった街を歩いてみると、殆どが空き地で、その一角に施設が建設され、賑わいを見せている。Decentralandの仮想都市は3Dゲームを彷彿させるグラフィックスで描写される。利用者はアバターとなり仮想都市を訪問する。市街地の中心部は「Genesis Plaza」と呼ばれ、ここに商業施設やイベント会場などがある(下の写真)。店舗や施設でデジタルグッズを購入することができる。また、他のアバターと会話することもできる。

出典: Decentraland

サザビーズが店舗を構える

Decentralandの仮想都市に大手企業が進出を始めた。イギリスのオークションハウス「サザビーズ(Sotheby’s)」はDecentralandに仮想店舗を設け事業を開始した(下の写真)。これはロンドンの店舗のデジタルツインで、外観だけでなく内部構造もリアル店舗の複製になっている。仮想店舗はデジタルアートを中心に作品を販売している。実際に、サザビーズ店舗で開催されたイベント「Natively Digital」が仮想店舗にライブで配信された。

出典: Decentraland

土地の購入

メタバースで土地を購入するには、”不動産会社”であるDecentralandを介すことになる。土地の基本ユニットはパーセル「Parcel」で、これが購買単位となる(下の写真、最小のマス目)。購入済みの土地は水色で示され、灰色の部分が購入可能な物件となる。支払いは暗号通貨「MANA」を使って決済される。また、土地はデジタルグッズであり、その所有権はNon-Fungible Tokens(NFT)で規定される。現実社会で土地を購入すると、売買契約を結び、不動産の登記をするが、メタバースではこのプロセスがNFTで実行される。土地の価格は場所により決まり、下記のParcel(赤色の四角)の購買価格は$10,290ドル。Parcelの大きさは16 x 16 メートルで、1平方メートル当たり$40.20となる。

出典: Decentraland

土地購買の仕組み

Decentralandは土地をブロックチェイン上に構成されるトークンと位置付ける。企業や消費者は、ここで土地というトークン「LAND」を購入する。土地はパーセル「Parcel」という単位で構成され、これが最小区画となる。複数の区画を纏めて購入し、これらをマージして私有地というトークン「Estate」を作ることもできる。決済はDecentralandが開発した独自の暗号通貨「MANA」で行われる。

Decentralandのシステム構造

Decentralandはブロックチェイン「Ethereum」で構築された仮想社会で、ここで土地売買や事業活動を行う。このプラットフォームで、土地を購入し、建物などを建設する。また、建設した店舗でデジタル商品を販売することもできる(下の写真、スポーツカー販売の事例)。更に、独自のアプリケーションを開発し、新しい事業を展開することも可能となる。

出典: Decentraland

トークンの種類

Decentralandは土地取引で三つのトークンを運用する:

  • MANA:Ethereumベースの暗号通貨で土地やグッズの購入で使われる。これは「Sidechain」と呼ばれる種類の暗号通貨で、Ethereumの機能を使ってDecentralandが独自に開発したもの。現在の交換レートは1 MANA = $2.94。
  • LAND:土地を表すトークン。
  • Estate:LANDをマージしたトークン。

トークンの中でLANDとEstateはNon-Fungible Token(NFT)で、これがデジタルアセットを所有している保証書となる。また、MANAはFungible Tokenで、暗号通貨として対等に交換することができる。

スマートコントラクト

土地やグッズの売買はEthereumのスマートコントラクト「Smart Contract」で規定される。これはEthereumのアプリケーションで、取引の手順を規定し、売買契約や所有権を規定する。更に、プラットフォームは、特定の団体で管理されるのではなく、利用者が共同で管理する仕組みとなる。これは「DAO(Decentralized Autonomous Organization)」と呼ばれ、Decentralandは分散構造の自立型プラットフォームと区分される。

出典: Decentraland

注意事項

Decentralandを訪ねてみると、ここは3D仮想社会で、15年ほど前にブームになった「Second Life」を思い出す。インターフェイスは似ているが、Decentralandはブロックチェイン基板上のサービスで、システム構造が根本的に異なる。ここで、NFTなどトークンをベースとする商取引が始まり、新しい市場が生まれると期待されている。特に、コロナの感染拡大で在宅勤務が続く中、交流の場としてメタバースが注目されている。(上の写真、今年のニューイヤーのカウントダウンは、Decentralandの仮想タイムズスクエアで開催された。) ただし、メタバースでの土地取引は誰もが初めての経験で、実際に購入する際は、先進事例を参考に、ビジネスモデルを理解しながら進める必要がある。

デジタルアートが70億円で落札される!! ブロックチェインで芸術作品が高値で売れる

オークションハウスのクリスティーズ(Christie’s)でデジタルアートが6934万ドル(約70億円)で落札された。作品はコンピュータで制作され、デジタルファイルとして売られた。誰でも複製できるファイルに高値が付いた。ファイルには証明書「Non-Fungible Token(NFT)」が添付され、これがアートの所有権を示す。なぜ複製可能なデジタルアートに高値が付くのか、米国社会は騒然としている。

出典: EVERYDAYS: THE FIRST 5000 DAYS, 2021 by Beeple

デジタルアート

この作品は「Everydays: The First 5000 Days」というタイトルで、Mike Winkelmann(筆名はBeeple)が制作した(上の写真)。Beepleは米国のアーティストで、2007年からデジタルアートの制作を続け、毎日作品を発表してきた。ちょうど5000作目が完成し、これを纏めて一枚のファイルにしたのが「The First 5000 Days」となる。作品の中の小さなマス目が単独のデジタルアートで、ファイルを拡大するとヒトやモノや自然や宇宙が空想的に描かれていることが分かる。

オークション

クリスティーズでこのデジタルアートは昨日6934万ドルで落札された。作品は解像度21,069 x 21,069 ピクセル (319,168,313 バイト)のJPEGファイルとして販売された。この作品には証明書がNFTのフォーマットで付加される(下の写真)。落札者はこのJPEGファイルとNFTを受け取ることになる。

出典: Christie’s  

Non-Fungible Tokeとは

Non-Fungible Token(NFT)とは暗号通貨の一種で、特定のモノを代表する機能を持つ。具体的には、NTFはブロックチェインで構成されるトークンで、デジタルアートなどの所有権を示す証文となる。NFTはブロックチェイン「Ethereum」の上に構成され、分散データベースとして安全に管理される。また、NFTはEthereumの「Smart Contracts」を使っている。Smart Contractsとはインテリジェントな契約機能で、人間の介在無しにアプリが事前に設定されたルール(契約)に基づき、売買のトランザクションを実行する。これにより、デジタルアートの取引をソフトウェアで定義し、クラウド上で実行できる。

Fungibleとは

ちなみに、Fungibleとはコモディティの特性で等価に交換できるものを指す。例えばビットコインがこれに相当し、1ビットコインは別の1ビットコインと等価に交換できる。一方、Non-Fungibleとは等価に交換できないコモディティの特性を指す。この代表がデジタルアートの証明書で、上述のトークンは「The First 500 Days」には有効であるが、他の作品には使えない。

なぜデジタルアートが高値で売れるのか

簡単に複製できるデジタルアートがなぜ高値で売れるのか、ネットで議論が沸騰している。「The First 5000 Days」のオリジナルファイルはサイトに公開されており、それをダウンロードして閲覧できる。(先頭の写真はこのサイトからダウンロードしたもの)。アート所有者と同じように、同品質の作品を見ることができる。一方、所有者はこの作品を別のオークションにかけ転売して利益を得ることができる。その際に、NTFでアートの所有者であることを証明する。

デジタルアートが投資の対象

絵画や彫刻などの芸術作品は今までも投資の対象となり、資産家や団体が所蔵している。同時に、これらの写真がネット上に公開され、我々はPCやスマホで見ることができる。このケースでは、アート所有者は写真撮影者ではなく、購買者であることは明瞭。しかし、ここにデジタルネイティブのアートが登場し、オリジナルの複製が多数ネット上に存在している。

著作権保護はできない

その権利の所在を明らかにする技術としてNTFが使われ、簡単に複製されてもその所有者が明確になった。つまり、インターネットは著作権保護の技術開発に失敗し、ここにNFTが登場し、所有権が明確になった。アートや音楽の複製を止めることはできないが、NFTが権利の所在者を証明する。これにより、NTFがデジタルアセットの新しいクラスとなり、ネット上で資産を形成することが可能となる。このNTFという新たな資産に対し投資が始まった。

デジタルアートの価値

しかし、デジタルアートが市場の常識を超え、高値で評価されている。Beepleは上述の作品の他に、「CROSSROAD #1/1」という作品(下の写真)を発表し、これが660万ドルで落札された。これはGIF形式の動画で、裸のトランプ氏の体に落書きされ、そこにTwitterが舞い降りる構成になっている。大統領選挙でトランプ氏がバイデン氏に敗戦したことを残酷に表現している。

出典: CROSSROAD #1/1 by Beeple

デジタルアート売買サイト

デジタルアートは投資の対象となり、その所有権が高値で売買される。今ではデジタルアートを売買するサイトが数多く登場し、「Crossroad」は「MakersSpace」というサイトで販売された。サイトには数多くのデジタルアートが掲載され、オークション形式で作品が販売される。デジタルアートの所有権を高値で購入するのは、転売して利益をあげることにあるが、オリジナルを持つことの満足感も大きな要因となっている。

著名人がデジタルアート制作

Elon MuskのガールフレンドであるGrimes(本名Claire Elise Boucher)はミュージシャンとして有名であるが、デジタルアートを制作し、多くの作品を発表している。その代表が「WarNymph」で(下の写真)、オークションサイト「Nifty Gateway」で販売された。WarNymphはデジタルアートのコレクションで、売上高は累計で580万ドルとされる。Nymphとはギリシャ神話に登場する女神で、悪霊から山や森を守る。WarNymphは女神が戦争から火星を守るモチーフが描かれている。

出典: Grimes

デジタルカード

この流れはデジタルアートだけでなくデジタルカードに広がり、これらがNFTで取引されている。男子プロバスケットボールリーグNBAはデジタルなトレーディングカードの販売を開始した。これはプロバスケットボールのトレカで「NBA Top Shots」と呼ばれ、愛好家の間で収集され交換される。カードは短いビデオ形式で、選手のファインプレーが録画されている。一番人気はLeBron Jamesの「Dunk」で、ダイナミックなダンクが動画で再生され、25万ドルで販売された(下の写真)。因みにNBA Top Shotsは「Flow」というブロックチェインで構成され、専用のアプリでデジタルカードが売買され、ここがNBAの大きな収入源になっている。

出典: NBA Top Shots

バブルかニューエコノミーか

アートやスポーツの他に、音楽や写真やアニメやツイートも販売の対象となる。Twitter創業者Jack Dorseyは同氏の最初のツイート(下の写真)をNFTで競売にかけ250万ドルの値が付いている。

出典: Jack Dorsey @ Twitter  

希少価値のあるデジタルアセットはNFTで取引される対象となっている。常識を超える高値で取引されるが、NFTが次のビットコインになるとの解釈もある。ビットコインが登場した当時は6万ドルの値が付くとはだれも想像していなかった。ビットコインバブルが続いているが、NFTもこの足跡を辿るのか、エコノミストや投資家が注目している。

銀行は量子コンピュータの導入に積極的、JPMorganは量子アルゴリズムと量子通信の研究を進める

量子コンピュータの国際会議「Q2B」(#Q2B20)が開催され、インダストリー分科会で主要企業から量子コンピュータ導入準備状況が報告された。その中で大手銀行JPMorgan Chaseは量子コンピュータにおけるアルゴリズムとセキュリティに関する研究成果を発表した。量子コンピュータは金融アプリケーションとの相性が良く、商用機が出荷されると、銀行が最初のユーザになるとの見方が示された。

出典: JPMorgan Chase

JPMorgan研究所

JPMorganの研究開発部門の責任者Marco Pistoiaが研究概要を説明した。JPMorganは先進技術研究「Future Lab for Applied Research and Engineering(FLARE)」で量子技術の研究を進めている。FLAREのミッションは先進技術を理解し、それをビジネスに応用することで、研究対象は量子コンピュータの他に、クラウド・ネットワーキング、AR/VR、IoTなどがある。この中で、量子コンピュータを最重要テーマとし、金融アプリケーションやセキュリティの研究を進めている。

量子アルゴリズム開発

ここで金融アプリケーションを量子コンピュータで稼働させるためのアルゴリズム開発が進んでいる。金融アプリケーションは量子コンピュータとの相性が良く、量子コンピュータがスパコンを凌駕する「Quantum Advantage」に最初に到達すると期待されている。

量子アルゴリズムの種類

研究対象の金融アプリケーションは三つに分類でき、それぞれ、モンテカルロ技法(Monte Carlo Method)、ポートフォリオ最適化(Portfolio Optimization)、機械学習(Machine Learning)となる。これらのアプリケーションは量子アルゴリズムで構成され、量子コンピュータで実行する。金融業務の多くは量子コンピュータにより処理速度が大きく上がると期待されており、その検証や必要なリソースの規模(Qubitの数やエラー発生率など)に関する研究が進められている。

出典: IBM

モンテカルロ法とは

金融アプリケーションの中で一番期待されているのがモンテカルロ法で、量子コンピュータにより大幅なスピードアップが可能となる。モンテカルロ法とは乱数を用いたシミュレーションや数値計算で、数値モデルを生成し、乱数を使って計算し、解を推定する手法を指す。モンテカルロ法は汎用的な手法で、社会の幅広い分野で使われている。

オプション価格計算

金融分野ではオプション価格(Option Pricing)やリスク解析(Risk Analysis)にモンテカルロ法を適用する。オプション価格とは、複雑な条件のもと、将来価格を計算する技法で、現行手法では数多くのパターンを実行する必要があり処理時間が長くなる。一方、量子コンピュータでは少ない事例で価格を計算でき、大きなスピードアップが期待されている。

NISQタイプの量子コンピュータ

しかし、現在の量子コンピュータはNISQと呼ばれるタイプで、エラー発生率が高く、大規模な計算を実行することはできない。このため、JPMorganはNISQ向けのモンテカルロ法のアルゴリズムの研究を進めている。不安定なシステムで高速にアルゴリズムを実行できる技法の開発が進められている。将来、エラー補正機構を備えた大型量子コンピュータが登場すると、ここで規模の大きなアプリケーションを実行することを計画している。

出典: National Institute of Standards and Technology

セキュリティが破られる

JPMorganはセキュリティの研究を進めていることを明らかにした。大型の量子コンピュータが登場すると現行のセキュリティが破られることは早くから指摘されていたが、その対策が取られてこなかった。しかし、量子コンピュータ開発のペースが予想外に早く、量子技術に耐性のあるアルゴリズム開発が喫緊の課題となってきた。

量子コンピュータに耐性のある暗号化技術

米国政府は国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology, NIST)を中心に量子コンピュータに耐性のある暗号化技術(Post-Quantum Cryptography)の開発を進めている。このプログラムは2016年12月に始まり、コンペティションの形式で量子アルゴリズムの開発が進んでいる。69のアルゴリズムが提案され、現在は15に絞り込まれ、近く最終判断が下される(上の写真)。最終選考されたアルゴリズムが米国の標準技術となり一般に公示される。企業はこのセキュリティ技術を導入して、量子コンピュータの脅威に備える。

導入に向けた準備

量子コンピュータに耐性のあるアルゴリズムが制定されるのを前に、JPMorganは社内で準備作業をすすめていることを明らかにした。セキュリティ標準技術が決まると、JPMorganは社内のデータをこのアルゴリズムで暗号化する。そのための準備作業として、どのデータを新規基準に従って暗号化すべきかの選定作業を進めている。長期保存が必要なデータから暗号化を進め、量子コンピュータが登場しても攻撃を防御できるシステムを構築する。

量子鍵配送

JPMorganは上記に加え、量子技術を使ったセキュアな通信技術の研究を進めている。これは量子鍵配送(Quantum Key Distribution、QKD)で、ハッキングできない安全なネットワークを構築する(下のグラフィックス、QKDの原理)。量子鍵配送とは通信網を量子技術で構成するもので、究極のセキュリティとも呼ばれる。具体的には、量子ビット(光子)を使った暗号化技術で、送信するデータが経路上で盗聴されると、その攻撃が分かる仕組みになっている。JPMorganはネットワークを量子鍵配送で構成することで極めて安全な通信網を構築する。

出典: Quantum Flagship

銀行が最初のユーザか

金融アプリケーションは量子技術との相性が良く、量子コンピュータで高速化できるアルゴリズムが多いとされる。しかし、これを実際に検証する必要があり、JPMorganはこの研究を進めている。具体的には、量子コンピュータ商用機が登場すると、金融システムにどんなインパクトがあるのか、また、どの金融アプリケーションを高速化できるのか、これらのポイントを明確にする必要がある。JPMorganはIBMのパートナー企業であり、IBM Qを使ってこの研究を進めている(先頭から二番目の写真)。まだ検証作業中であるが、量子コンピュータを導入するのは銀行が最初になるとの予測もある。