アマゾン創業者Jeff Bezosは一万年のあいだ時を刻み続ける時計を建設

アマゾン創業者Jeff Bezosは10,000年間時を刻み続ける時計「10,000 Year Clock」の建設に着工した。この時計は全て機械式で、1年に一回長針が進み、100年に一回短針が進む。時計は巨大で岩山を垂直にくり抜いて据え付けられる。この時計は世界で一番遅いマシンともいわれ、技術が激しく進化するなか、長期な視点で物事を捉える象徴となる。

出典: Kevin Kelley  

発案者

10,000 Year Clockは発明家であるDanny Hillisが1986年に考案した。HillisはThinking Machines社を設立し、超並列型スパコン「Connection Machine」を開発した人物。Connection MachineのCM-2は8,192個のプロセッサが並列で稼働し、当時世界最速のスパコンとして注目された。

プロトタイプ

時計のプロトタイプは非営利団体Long Now Foundationが開発した。同団体はサンフランシスコに拠点を置き、Hillisが共同代表を務める。時代が高速で流れゆく中、これに逆行するプロジェクトを進め、社会のバランスをとることをミッションとしている。時計のプロトタイプは既に完成しており、1999年のニューイヤーイブで使われた(上の写真)。Millennium(千年紀)が変わり社会は興奮していたが、時計の表示は01999から02000に変わり、時間は長いレンジで流れることを示した。

時計の建設が始まった

このプロトタイプを実際の時計として建設するプロジェクトが始まった。Bezosはプロトタイプの開発でHillisを支援し、10,000 Year Clockを実現するために4,200万ドルを拠出した。建設作業が始まり、Bezosはこの様子をTwitterで公開した。これによると、時計の高さは500フィート(150メートル)で、東京タワーの高さ(332.9メートル)の半分程度の大きさとなる。時計は全て機械構造で、物理的な動きを眼で見ることができる。時計を動かす動力は昼と夜の温度差を使う。また、時計の時刻は太陽の正午と同期する仕組みになっている。公開されたビデオには岩山に円柱状に穴をあけ、時計を建設する様子が写されている(下の写真)。場所はテキサス州西部のバンホーン(Van Horn)で、この近くにはBezosの宇宙開発会社Blue Originの施設がある。

出典: Jeff Bezos

時計の動力源

時計を動かすための主要動力源は人間で、柱時計のゼンマイを鍵で回すように、巨大なバーを人が回して動力を蓄える。時計の両側にシリンダーが取り付けられ、重り(Drive Weight)をコイル(Drive Rewind Spinal)で吊り下げる構造となっている(下の写真、両端のパイプ状の部分)。このコイルを巻き、重りを引き上げて動力とする。しかし、10,000年にわたり人が来る保証はなく、時を刻む機構に関しては、時計は自力で稼働する。時計は山頂に設置され、昼と夜の温度差が大きく、これを利用して動力源とする。具体的には、金属の板が温度により伸縮する力を利用する。人間が巻き上げた重りは時計版の表示とチャイムの演奏に使われる。

時刻とその補正

時計はねじれ振り子(Torsion pendulum)という方式が使われる(下の写真、最下部の球体が装着されている部分)。家庭にある置時計のように、円盤が左右に回転して時を刻む。ねじれ振り子時計は機械的な構造で時間に誤差が生じるため、これを補正するために太陽光を利用する。太陽が子午線を通過する正午に、光をレンズで集め金属製ワイヤーに照射する。このワイヤーは形状記憶合金で、温度が上がると縮む性質があり、この力で時計の時間を正午に合わせる。

チャイム

時計は定期的にチャイムが鳴る仕組みになっている。ウインドチャイムのように10本のチューブがつるされ、これを叩いて音楽を奏でる。人間がバーを押して重りを巻きあげた時もチャイムが鳴る。パターンは300万通り以上で10,000年間で全て異なる音楽が奏でられる。音楽のパターンを計算する機構は「Binary Mechanical Computer」と呼ばれ、様々なギアから構成される(下の写真、時計の文字盤の下に取り付けられている部分。この内側にチャイムが取り付けられている)。

出典: The Long Now Foundation

時計の文字盤

時計の文字盤はリング状になっており(下の写真)、長針(外側のリング) は1年に一つ進み、短針(内側のリング)は 100年に一つ進む。また、1000年ごとに鳩時計のように鳥が出てきて鳴く仕組みとなっている。また、中央には太陽、月、星の位置が表示される。時計の文字盤は動力を節約するためいつもは止まっているが、人がコイルを巻いたときだけ動く仕組みになっている。

出典: The Long Now Foundation

時計を建設する目的

技術革新が高速で進む中、この時計は時間を長期的な視点から把握するために考案された。宇宙船から地球を見るように、この時計は1万年のレンジで時間を表している。Bezosは、「時計が動き続ける間に、アメリカは無くなり、文明は移り変わる。どんな時代になるか誰も予想できないが、この時計は時代を跨って動き続ける。」と述べている。  

出典: Google Maps

時計の見学

10,000 Year Clockは建設中であるが、完成すると一般に公開され、時計を見学できる。また、レバーを押してコイルを巻き、時計の運用に関わることができる。この時、時計はチャイムを鳴らし音楽を奏でる。同じパターンはなく、世界に一つだけのメロディーを楽しむことができる。時計はテキサス州西部のSierra Diablo山脈に位置し、近郊都市El Pasoまで飛行機で飛び、そこから自動車で2時間の行程となる(上の地図)。見学には事前登録が必要で、完成すると招待状が届く仕組みとなる。ただ、完成時期については「今から長年かかる」とだけ記述され、時間に縛られないでマイペースで工事が進んでいる。

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