カテゴリー別アーカイブ: Google

コロナと共棲する社会の「健康パスポート」、Googleはカリフォルニア州で新型コロナ検査クラウドを構築

Google系Verilyはカリフォルニア州で新型コロナウイルスの検査体制を構築した。Verilyの専用サイトで検査を申し込み、ドライブスルーでPCR検査を受けることができる。都市閉鎖が解除され、コロナと共棲する社会となり、感染のリスクが高まっている。これからは、定期的に検査を受けて健康を確認することが求められるが、このサイトが健康パスポートの役割を担う。

出典: Verily

健康管理のダッシュボード

このシステムはVerilyがカリフォルニア州政府や連邦政府と共同で開発したもので、サンフランシスコ地区の住民はここでPCR検査を受けられるようになった。このプロジェクトは「Baseline COVID-19 Program」と呼ばれ、新型コロナウイルスの健康管理台帳として機能する。住民は会員登録するとダッシュボードが開設され、ここにCovid-19関連情報が示される。

PCR検査の申し込み

実際に、ダッシュボードからPCR検査を申し込み、検査を受けた。ダッシュボードに示される質問に回答すると(下の写真、左側)、PCR検査を受ける条件を満たしているかが判定される。条件を満たしていると、近隣の試験サイトを選び、試験日時を予約する。メールで確認書が送られ(下の写真、右側)、当日は、これを持参して検査を受ける。

出典: VentureClef

ドライブスルー検査場

予約した時間に検査場に出向き、ドライブスルーでPCR検査を受ける(下の写真)。会場入り口で本人確認が行われ、検査(Nasal Swab Test)が実施される。鼻にSwabが挿入され、検体が採取される(先頭の写真)。全ての工程はクルマに座ったままで進み、感染のリスクは最小限にとどめられる。会場到着から10分程度で検査が終わり、意外なほど簡単に進んだ。

出典: VentureClef

検査結果とダッシュボード

検査結果は四日後にダッシュボードに表示された(下の写真、左上の部分)。検査結果は陰性であり、次に取るべきアクションが示された。また、結果が陽性であれば医療関係者から連絡があり、Contact Tracingが実施される。その後、ダッシュボードには次のPCR検査についての情報が示され、同じ手順で検査を受けることができる。コロナ社会で安全に生活するには、PCR検査を定期的に受診する必要がある。

出典: VentureClef

抗体検査プログラム

Verilyはサンフランシスコ地区でコロナ感染者の実態を把握するための研究プログラム「COVID-19 Research Project」を開始した。これは抗体検査とPCR検査を併用し、域内の感染状況を把握することを目的とする。更に、抗体があれば再び感染することがないのか、また、抗体はどれだけの期間体内に留まるのかも調べる。

研究プロジェクトへの参加

ダッシュボードにはこのプログラムに関する情報が掲載され(上の写真、右カラム)、被験者を募集している旨が示された。研究の目的や意義に賛同すれば、そのままダッシュボードで契約書に署名し、研究プロジェクトに参加できる。(実際に、この研究プロジェクトに申し込んだが、8週間にわたり抗体とウイルスの状態がモニターされる)。

トランプ大統領の記者会見

PCR検査のインフラはトランプ大統領の記者会見で発表された。大統領は国民全員がウイルス検査を受ける体制を構築すると述べ、ホワイトハウス専任チーム「Coronavirus Task Force」のDeborah Birx博士がその概要をパネルで説明した(下の写真)。パネルで示されたプロセスをVerilyがクラウドに実装し、各地の試験センターを運営するかたちとなっている。

出典: White House

Verilyとは

VerilyはAlphabetの子会社で、先進医療の研究をミッションとする(下の写真)。その中心が「Project Baseline」で、先進医療を健康管理に応用する研究を進め、被験者の身体に関するデータを収集し、それをAIで解析することで健康に関する知見を得る。PCR検査はこのスキーマの中で実施され、住民のウイルス感染情報を大規模に収集し、それを健康管理に役立てる。

出典: The Business Journal

コロナと共棲するために

全米で都市が再開され、日常生活が徐々に戻ってきた。ソーシャルディスタンシングを取りながら仕事や買い物をするが、感染の危険性は常にある。安全に暮らすためには定期的にPCR検査を受診しウイルス状態をチェックする必要がある。Amazonは自社で社員のPCR検査を定期的に実施する施設を準備しているが、一般市民は様々な公的機関でPCR検査を受けている。このためにVerilyのBaseline COVID-19 Programが健康管理で必須のインフラとなる。

米国で都市ロックダウン解除の準備が進む、AppleとGoogleは新型コロナウイルス感染者追跡システムを開発

米国で新型コロナウイルスの拡大がピークを越え、都市ロックダウン解除についての議論が始まった。政府関係者は地域ごとに徐々に閉鎖を解除することを提案している。閉鎖解除には、広範囲なウイルス検査と感染者追跡システムを確立することが必須条件となる。

出典: Apple / Google

Contact Tracing

後者は「Contact Tracing」と呼ばれ、感染者とその接触者を追跡し、感染拡大を阻止する仕組みを指す。中国や韓国やシンガポールなどで実施されているが、この仕組みをそのまま米国に適用できない。米国市民は個人情報保護に敏感で、プライバシーを守りながらContact Tracingを運用する必要がある。AppleとGoogleは両社が共同してこの要件に沿ったContact Tracingシステムを開発した。

システムの概要

AppleとGoogleは2020年4月、個人のプライバシーを守りながら濃厚接触を検知する技術を公開した。これは「COVID-19 Contact Tracing」と呼ばれ、スマホのBluetooth Low Energyを使って接触を検知する。Bluetoothは近距離無線通信技術で、スマホは定常的に近傍のスマホとシグナルを交換する仕組みになっている。Contact Tracingはこの仕様を使い、個人を特定することなく濃厚接触を把握し、感染の危険性を通知する。これはiOSとAndroidの基本ソフト機能として提供され、医療機関はこれを使って濃厚接触者を特定するアプリを開発する。

濃厚接触を検知する仕組み

公的な医療機関はContact Tracingのアプリを開発し、住民はこれをスマホにダウンロードして使う。アプリは濃厚接触を検知する機能を持つ(下のグラフィックス、左側)。スマホは常にBluetoothのシグナルを発信しており、近傍にスマホがあると、両者はKey(Rolling Proximity Identifier、識別番号)を交換する。スマホはこのKeyをデバイスに格納し、誰が近くにいたかを記録する。Keyはデバイスを特定する番号であり、個人情報や位置情報は含んでいない。

利用者が病気に感染すると

その後、利用者がウイルスに感染していることが分かると、この情報をアプリに入力する。アプリは利用者の許諾の元、BluetoothのKeyをクラウドのデータベースにアップロードする(下のグラフィックス、右側)。このKeyが感染者を特定する番号となる。(Keyはセキュリティを担保するため頻繁に変わる。このため過去14日間で生成されたすべてのKeyがアップロードされる。)

出典: Apple / Google

濃厚接触を把握する

スマホは定期的にその地域の感染者のKeyをデータベースからダウンロードする。感染者のKeyとデバイスに格納している接触者のKeyを比較する(下のグラフィックス、左側)。接触者のKeyと感染者のKeyが一致すると、利用者は感染者と濃厚接触したことになる。つまり、接触者の中に感染者がいたことが分かる。

警告メッセージを表示

次に、アプリはスマホ利用者に、感染者と濃厚接触した疑いがあるとの警告メッセージを表示し、取るべきアクションを指示する(下のグラフィックス、右側)。一方、政府医療関係者はこの情報を使って感染対策を進める。この際、アプリ利用者やAppleやGoogleは感染者の個人情報を知ることはできない。

出典: Apple / Google

アプリ開発のプラットフォーム

COVID-19 Contact Tracingは感染者を追跡するためのプラットフォームで、実際のアプリは医療機関により開発される。これら医療機関がアプリを使って感染者をトレースする仕組みとなる。この機能は2020年5月にAPIとして提供され、その後、iPhoneとAndroidの基本ソフトに組み込まれ感染者追跡機能として搭載される。

ロックダウン解除の条件

全米の主要都市が閉鎖され社会生活や事業活動が停止しているが、いま閉鎖を解除する方策が議論されている。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)長官のRobert Redfieldはロックダウンを解除するためにはアグレッシブな感染経路の追跡が必要であるとの見解を示した。都市閉鎖を解除すると再び感染者が増えるが、それを抑え込むために感染経路を特定する仕組みを制定しておく必要がある。更に、患者増加に対して、感染者を治療する医療施設が揃っていることも条件となる。

濃厚接触者を特定するプロセス

政府医療機関は感染症がアウトブレークした際に、Contact Tracingの手法で、病気感染者に接触した人物を見つけ、必要な対策を実施してきた(下のグラフィックス、CDCのContact Tracingのプロセス、エボラ出血熱のケース)。接触者の状態に応じて隔離や観察の措置を取る。また、接触者が感染している場合は、同じプロセスを繰り返し、感染のエッジに到達するまで作業を進める。Contact Tracingは感染症対策の常套手段でCDCの専門部隊などがこの任務を担っているが、COVID-19 Contact Tracingを使うことでこのプロセスが大幅に効率化されると期待されている。

出典: CDC

中国や韓国の事例

中国・武漢では1800の感染症対策チームが編成され大規模にContact Tracingを実行したとされる。また、韓国、シンガポール、台湾ではスマホを使ったContact Tracingが実施されている。これにより、感染のピークを押さえることができ、成功した事例として評価されている。

個人情報収集とプライバシー

中国で住民は移動する際に掲載されているQRコードをスマホで読み込み位置情報を登録する。韓国では監視カメラ、スマホの位置情報、クレジットカード決済データを使って感染者との接触情報を把握する。香港では政府が感染者の位置情報を公開し周囲の住民に注意を喚起している。これらは濃厚接触者追跡に有効な情報であるが、米国社会はこれらの手法はプライバシーの侵害と解釈し、そのまま適用することは難しい。

国民性の相違

このような緊急事態であるが、米国では個人のプライバシーを保護しながらContact Tracingを進めるという難しいプロセスが要求される。政府機関が国民の個人情報へアクセスすることを最小限に抑え感染症を封じ込めることが求められる。国民性の違いにより感染症対策の手法も異なることになる。

GoogleはAIで新型コロナウイルスの3D形状を解明、この情報が治療薬開発を加速する

新型コロナウイルスの感染者数が30万人を超え世界は危機的な状況となった。病気を防ぐワクチンや治療薬がないため、感染が拡大し病気が重篤化している。世界の研究機関はワクチンや治療薬の開発を急いでいる。Google系DeepMindはAIを使い新型コロナウイルスの3D形状を推定した。医薬品開発では病気を引き起こすたんぱく質の形状が決定的に重要で、AIがワクチンや治療薬の開発を加速するのか期待が寄せられている。

出典: DeepMind

AlphaFold

DeepMindはたんぱく質の形状をニューラルネットワークで推定する研究を早くから進めている。このAIは「AlphaFold」と呼ばれ、遺伝子情報を解析し、たんぱく質の3D形状を推定する。つまり、たんぱく質を生成する遺伝子配列を読み込むと、たんぱく質の形が分かるというもの。DeepMindはAlphaFoldを新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に適用し、その形状を推定した(上の写真)。これは新型コロナウイルスの「Membrane Protein」(下の写真、ウイルスの膜に付着しているたんぱく質)といわれる部分で、治療薬の開発には不可欠な情報となる。

たんぱく質の形状が持つ意味

たんぱく質の形状が注目されるのは、その形が機能を決めるからである。細胞内のたんぱく質の形状を見ることで、その役割が推定される。これにより、対象とするたんぱく質(例えばがん細胞)の形に作用する薬の開発に繋がる。新型コロナウイルスも同様で、ワクチンや治療薬を開発するにはウイルスの形状が決めてとなる。しかし、従来の手法(低温電子顕微鏡など)では形状を特定するまでに数か月かかり、この緊急事態に対応できない。このため、DeepMindは既に開発を進めていたAlphaFoldを新型コロナウイルスに適用し、その形状を推定した。

出典: Nature

Protein Folding Problem

たんぱく質はアミノ酸の配列で構成される(下の写真)。アミノ酸と別のアミノ酸が結合するとき、両者の距離や結合角度が決まる。これにより、アミノ酸結合は、らせん配列(Alpha Helix)とシート配列(Pleated Sheet)という構造を取る。更に、これらが絡み合い3D構造のたんぱく質ができる。たんぱく質がどのように折り畳まれているかを解明する研究を「Protein Folding Problem」と呼び、過去数十年にわたり研究が続いている。

出典: DeepMind

ニューラルネットワークの技法

AlphaFoldは三つのニューラルネットワークを使ってたんぱく質の形状を推定した(下の写真)。最初のネットワークはアミノ酸の配列から、それぞれのアミノ酸の間隔と結合角度を推定する。ここでは教育データとして実際のたんぱく質とその距離や角度のデータが使われた。二つ目のネットワークは推定されたたんぱく質の形状がどれだけ正確かを算定する。三つ目のネットワークは、これらの情報からたんぱく質の3D形状を描き出す。

出典: DeepMind

出力結果の検証

このプロセスを新型コロナウイルスに適用し、その形状を推定したのが先頭の写真となる。ただし、これはAlphaFoldによる推定で、実際にこの形状が正しいかどうかは検証されていない。実験で新型コロナウイルスの形状を決定するまでには時間を要し、DeepMindはこの確認を待たないで解析結果を公表した。未確認の情報であるがこれを研究開発に役立てほしいとしている。

体内で生成されるたんぱく質

AlphaFoldは新型コロナウイルスだけでなく、他の病気の治療薬を開発するために開発が続いている。医学分野では、人間の体内で生成されるたんぱく質の構造についての研究が進んでいる。既に、体内で生成されるたんぱく質の中で、その半分について構造が分かっている。これらの情報はProtein Data Bankに登録され一般に公開されている。世界の研究者はこれらたんぱく質の形状を理解し新薬の開発を進めている。

AIを創薬に応用

しかし、遺伝子変異により人間のたんぱく質の構造が変わり、これが原因で病気を引き起こす。これらの病気を治療するためには、変異したたんぱく質の構造を理解する必要がある。この分野でAlphaFoldが活躍し、難病の治療に繋がると期待されている。また、新型コロナウイルスのように新しい種類のウイルスの形状を解析するためにも有益なツールとなる。

医療以外の応用分野

AlphaFoldは医療だけでなく環境問題を解決するツールとしても期待されている。いまプラスチックが海に流れ出て環境汚染が深刻化している。AlphaFoldはプラスチックを生物学的に分解する(Biodegradable)技法の開発を目指している。プラスチックを分解する酵素の発見がゴールとなりAIでその形状を推定する。

新型コロナウイルスのフェイクニュースで世界が混乱、Googleは偽情報を検知する技術を開発

新型コロナウイルス(Novel Coronavirus)が中国から各国に広がり、世界が危機的な状況にある中、新型ウイルスの虚情報がネットで拡散している。個人がフェイクニュースを発信するだけでなく、ロシアは米国を攻撃するために偽情報を拡散している。サイバースペースでは国家が偽情報を武器として使っている。ソーシャルメディアの危険性が改めて認識されるなか、Googleは偽情報を検知する技術を公開した。(下の写真:武漢の市街地を除菌する車両)

出典: China Daily

ロシアの攻撃

今週、主要メディアは、米国政府関係者筋の情報として、ロシアが新型ウイルスに関する偽情報を大量に発信し、米国を攻撃していると報じた。ロシアはソーシャルメディアで多数の偽アカウントを開設し、ここからフェイクニュースを大量に発信している。その内容は、「新型ウイルスは米国により開発されたもので、これを生物兵器として中国で拡散させている」というもので、フェイクニュースが攻撃手段として使われている。

偽情報を拡散する目的

ロシアが偽情報を発信する目的は、米国の国際的な信用度を落とし、米国社会の不安を増長させることにある。情報操作は冷戦時代に始まり、ソビエト連邦のKGBはエイズを発症させるHIVについて偽情報を発信したという経緯がある。米国の科学者がHIVを開発し、それが世界に蔓延したというもので、フェイクニュースの原型となる。このような経緯もあり米国諜報部門は新型ウイルスに関しロシアの情報操作を警戒していた。

米国は中国を攻撃

偽情報を発信しているのはロシアだけでなく、米国で新型ウイルスの陰謀説が流布している。右派系ニュースサイト「G News」は、武漢(Wuhan)にある研究施設(Wuhan Center of Disease Control and Prevention)から新型ウイルスが流出したことを中国政府が認めた、という記事を公開した(下の写真、ファクトチェックサイトはこれを偽情報と判定)。その後、共和党議員(Tom Cotton)がテレビ番組(Fox News)で、この問題を取り上げ、この陰謀説が全米に広がった。これに対して、米国の科学者団体は、偽情報を拡散することは新型ウイルス対策を遅らせることになるとして、警告メッセージを発信した。

出典: PolitiFact

ロシアが再び大統領選挙に

今年は米国大統領選挙の年だが、米国諜報部門はロシアが既に選挙戦に介入していることを議会委員会に報告した。ロシアはソーシャルメディアを使い、偽情報を流布し、米国有権者の世論を操作している。2016年に続き今回も、ロシアはトランプ氏を支援し、再選できるための情報戦を展開している。同時に、民主党の候補者サンダース氏を後押ししていることも明らかになった。ロシアがどのような手口でこれを進めているかは公開されていないが、偽情報で国民世論を分断する手法が取られると予測されている。

Googleの偽情報対策

社会にフェイクニュースが拡散しているが、これらはDisinformation(偽情報)と呼ばれ、世論を二分し社会を不安定にすることを目的としている。Google配下の「Jigsaw」は偽情報を検知する技術を開発しており、この内容を発表した。この技術は「Assembler」と呼ばれ、フェイクイメージを検知する機能を持つ。Assemblerは報道機関向けに公開され、各社はこの技術を使い、写真が加工されているかどうかを把握する。AssemblerはDeepFakes(高度なAIで生成されたフェイクイメージ)も検知することができる。

Assemblerの機能概要

Assemblerは入力された写真を解析し、イメージの中で改造された部分を特定する。Assemblerのスライドを左右に動かすと、写真の中で加工された場所を赤色のドットで示す(下の写真、星条旗の部分)。AssemblerはUC Berkeleyなどと共同で開発され、改造イメージの検知にはこれら研究機関の技術が使われている。具体的には、コピーされた部分、追加または消去された痕跡、異なるカメラで撮影された部分を検知する技術が組み込まれている。

出典: Jigsaw

Assemblerの特徴

これに加え、JigsawはDeepFakesを検知する技術を開発した。具体的には、StyleGAN(スタイルを変換してイメージを生成する技法)という手法で生成されたフェイクイメージを検知するAIを開発した。リアルとフェイクのイメージでアルゴリズムを教育し、AIはGANが生成したシグナルを検知する。また、Jigsawは、上述の研究機関が開発した検知技術を統合する技法を開発した。これはEnsemble Modelと呼ばれ、個々に検知したシグナルを統合し、モデルが複数の改造を同時に高精度で把握する構造とした。

記事の真偽を判定するツール

新型ウイルスの発生源は特定されていないが、ウイルスはコウモリに由来するとの科学レポートもある。ソーシャルメディアには、武漢のレストランでコウモリのスープが出されているとの記事が写真とともに掲載されている(下の写真)。また、それを女性が食べている写真もネットで拡散している。一見してフェイクニュースと思われるが、100%確信を持てるわけではない。

出典: China Daily

これ以外にも、ネット上にはショッキングな写真が数多く掲載されており、明らかにフェイクと分かるものもあるが、真偽の判定が難しい写真も少なくない。やはり、Assemblerのように真偽を判定するツールが必要となる。また、記事を掲載するソーシャルメディアは、その内容をツールで解析し、偽情報であればその旨を読者に知らせる仕組みも求められる。

GoogleはAIの品質保証書「Model Cards」を公開、アルゴリズムの機能と性能と限界を明確にする

社会にAIが幅広く浸透し日々の生活で利用されているが、消費者はAIの機能を理解しないまま使っている。AIは万全ではなく、顔認識で誤認したり、クレジットカード審査で女性が不利になることが報告されている。GoogleはAIの概要を明示する必要があるとして、アルゴリズムの中身を消費者に開示するシステムを開発した。

出典: Google

AIの品質証明書

これは「Model Cards」と呼ばれ、ここにアルゴリズムの機能や性能や限界が記載される。Model CardsはAIの品質保証書とも解釈でき、ここにAIの成績と欠点が書かれ、これを利用者や開発者に公開する。消費者はこれを読み、アルゴリズムの機能と限界を知り、AIを安全に利用する。

犬の種別を見分ける

例えば、ある企業が犬の種別を見分けるAIを開発し、それを販売したとする。Model CardsにはAIに関する基本情報が記載される(上のグラフィックス、イメージ)。これがAIの使用説明書となり、AIの特性を理解し適切に利用する。犬のどんな写真を使うとAIが正しく判定できるのかが分かる。大写しの写真や小さな写真ではAIが正しく判定できないことも理解できる。

Model Card:機能概要の説明

Googleは実際に、顔認識(Face Detection) AIのModel Cardsを公開した(下の写真)。ここには基本機能(Model Description)として、AIの概要が記述される(左側)。AIは認識した顔を四角の枠で囲って示すとの説明がある。また、顔の中で最大34のポイント(Landmark)を認識できるとしている。更に、ニューラルネットワークは「MobileNet」という種類で、軽量のイメージ判定AIであることが分かる。

出典: Google

Model Card:アルゴリズムの限界

Model CardsはAI機能の限界についても記載している。顔の向き(Facial Orientation)の限界を表示し、これを超えると検知できないとしている。また、顔の大きさ(Face Size)が小さすぎると検知できないとしている。具体的には、瞳孔間の距離(Pupillary distance)が10ピクセル以下だと検知できない。他に、暗い場所、顔が隠れている場合、顔が動いている場合は検知できないと注意を喚起している。

Model Card:精度の説明

Model CardsはAIの判定精度についても説明している。精度は「Precision-Recall Values」をプロットしたグラフで示される(上の写真右側)。また、グラフはベンチマークで使用したデータ種類ごとに示され、ここでは三種類のデータセットを使った結果が示されている。Precisionとは顔と認識したケースの精度で、Recallとは写真の顔をどれだけ漏れなく認識できたかを示す指標となる。つまり、Recallを見ると特定グループ(肌の色や性別の集団)の精度が分かり、これにより性別や人種によるバイアスがあるかどうかを検証できる。

出典: Margaret Mitchell et al.

業界で規格化を目指す

医薬品を買うと薬の効能や副作用や注意点が記載された説明書が添付されている。消費者はこれを読んで薬を安全に服用する。同様に、AIを使うときも消費者は説明書(上の写真、笑顔を検知するAIの説明書の事例)を読んで安全に利用する必要がある。これはGoogleが開発したAIだけでなく、他社が開発したAIにも適用することが求められる。このため、GoogleはModel Cardsを第一歩として、業界や開発者団体と共同で、この方式を規格化し普及させることを計画している。アルゴリズムの説明責任が求められる中、この活動がどこに向かうのか注視していく必要がある。