AmazonはZooxを買収し自動運転車市場に参入、サンフランシスコでロボタクシーの試験走行を公開

Amazonが買収したZooxはサンフランシスコでロボタクシーの試験運転を公開した。クルマはレベル5の完全自動運転車で、ドライバーが搭乗しないロボタクシーとして、市街地における住民の足となる。Zooxはミニバス形状で(下の写真)、市街地の狭くて込み合った道路を自動で走行する。Amazonはこの他に、自動運転SUVの開発を進めており、次のコア事業は自動運転車であることが鮮明になった。

出典: Zoox

クルマの全体構造

Zooxはレベル5の完全自動運転車で、ドライバーが搭乗しないで、バイクや歩行者で込み合う市街地を走行する。Zooxは四輪ステアリングで、斜めに走ることができ、狭いスペースに駐車して乗客を降ろすことができる。また、前後対象のデザインで、後ろ方向に走ることができる。駐車スペースからバックではなく前進で発進できる。対称構造であるため前後左右で同じ部品を使え、パーツ点数が大幅に少なくなる。

車内のデザイン

Zooxは西部劇で登場するステージコーチをほうふつさせるデザインで、車内に二人掛けの座席が向き合って配置されている(下の写真)。乗客は座席に座り、シートベルトを締め、スタートボタンを押すとクルマは目的地に向かって走行する。クルマを呼ぶときには、ライドシェアの要領で、スマホアプリで現在地と目的地を入力する。

出典: Zoox  

設計コンセプト

Zooxは他の自動運転車とは異なりゼロから開発されている。車体は自動車メーカーから供給されるのではなく、独自の設計で無人タクシーとしてデザインされている。自動運転のコア技術であるAIやソフトウェアも独自で開発され、システムはNvidiaのAIプロセッサで稼働する。当初はセダンタイプのデザインであったが(下の写真)、現在は、乗り降りしやすいステージコーチ型となった(先頭の写真)。

出典: Zoox  

AmazonがZooxを買収

このため、大規模な開発資金と多数のエンジニアが必要となり、Zooxは開発に行き詰り、企業を売却する判断を下した。このタイミングでAmazonは2020年6月に買収を発表し、ZooxはAmazonの資金で開発を継続している。これにより製品開発が加速され、2020年12月、Zooxは自動運転車を公開し、サンフランシスコ市街地を走行するデモが実施された。

センサー

ZooxはカメラとLidarとレーダーをクルマの四方に搭載し、これをAIで解析して自動運転を実現する(下の写真)。周囲360度の視野を持ち、毎時75マイルで走行することができる。カメラはオブジェクトの色を識別し、信号などを把握する。レーダーは周囲のオブジェクトを把握し、Lidarはこれを3Dで高精度で認識する。自動走行する前に、Lidarで道路と標識などをセンシングし、高精度3Dマップを作成しておく。

出典: Zoox  

製品ポジショニング

Zooxはステルスモードで開発し、その技術は謎に包まれていたが、Amazonが買収してからは製品化への歩みを速め、クルマの全貌が明らかになった。クルマのポジショニングも明確になり、市街地における短距離輸送に特化したデザインとなっている。

Bezosの戦略

この背後にはJeff Bezosの自動運転車に関する長期的なビジョンがある。Bezosは自動運転車とEVが次の大きな市場になるとして、相次いで資金を投資している。2019年2月、自動運転スタートアップ「Aurora」に大規模に出資し業界の注目を集めた。その直後、ピックアップトラックを開発するベンチャー「Rivian」に出資した。BezosはCEOを退任し、取締役会長になり、これからは新規事業の育成に時間を費やすと述べている。Zooxの買収で自動運転車が次のコア事業となることが鮮明になり開発が加速されることとなる。