AGI(人間の知能を超えるAI)がリリースされるとインテリジェンスの価値がゼロとなる。AIが知的タスクを低コストで実行し人間の労働力を置き換える。AIのインファレンスコストは電気料金で、ホワイトカラー社員の1/100と劇的に低下する。バイブコーディングによりAIがプログラムを短期間で生成し、ソフトウェア産業は存続の危機に直面する。これによりGDPが減少するが生産量は増加しており、現行の経済指標はAGI経済を評価できない。様々な局面で亀裂が生じ、AGI社会に向けた国家インフラを構築する必要があり、全米でAGI経済の議論が白熱している。

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AI識者の未来予想
スタートアップ企業Stable Diffusionの創設者であるEmad MostaqueはAGIが投入された後の経済に関す未来像を公開した(上の写真、イメージ)。これは「The Last Economy」と題され、AIにより世界経済が崩壊するとの視点を明らかにし、AGI時代の経済機構を構築する必要性を訴えた。AGIにより人間の知的労働が置き換えられることは明白で、これを前提として、経済、社会、金融システムを再構築する必要があると提唱する。AGIがリリースされるまでに残された期間は1,000日で、社会インフラを整備する時間は僅かである。
「The Last Economy」 最後の経済機構
「The Last Economy(最後の経済機構)」とは今の経済機構が終わりとなることを意味する。AIは知的労働で人間を追い越すことは明白で、この流れが急速に進む。2026年は、「Economic Agents」が投入されAIが人間の社員を置き換える。2027年には、これが「Economic Digital Double」に進化する。Economic Digital Doubleとは社員のデジタルツインで、人間に代わり職務を実行する。リモートワークの相手が人間であるかAIであるかを判別できない環境が生まれる(下の写真)。企業は人間の社員とAIエージェントで構成され両者がビジネスを遂行する。企業経営者はコスト削減のために、社員をAIエージェントで置き換えるペースを早める。社員の全てをAIで置き換えることが究極のゴールで、これに向かって「Race to Zero(ゼロ競争)」が始まる。

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「Metabolic Rift」 生物と非生物の乖離
人間の社員とAIをコストの観点から考察すると「Metabolic Rift(生物と非生物の乖離)」の社会構造となる。社員である人間は生き物で、「Metabolic Engine (代謝エンジン)」として位置付けられる。社員は食事や睡眠や休息を通して身体を維持する。これに対しAIは非生物で、知的労働はアルゴリズムのインファレンス(AIモデルの実行)により実行され、運用コストは電気料金だけとなる。人間社員の仕事の成果をトークン(言葉の単位)に換算すると、年間1億トークンを生成する。AIが1億トークンを生成するコストは1,000ドル程度で、これに対し、社員を雇用するコストは年間10万ドルとなる。AIは社員の1/100のコストで働くことを意味する。
「Vibe Coding」 言葉でコーディング
AIでプログラムを生成する手法はバイブコーディング「Vibe Coding」と呼ばれ、AGIでこの機能が格段に飛躍し、言葉だけでソフトウェアを開発する。データベースなどの製品を購入する必要は無く、必要なソフトウェアをAGIで生成する。企業はビジネスに必要なシステムやツールをAGIで生成し、これによりソフトウェア企業の売り上げが大きく減少する。
「Intelligent Economy」 知能ベースの経済
ソフトウェア企業の売り上げが減少すると、これがGDP(国内総生産)の減少に繋がり、景気が後退したと解釈される。GDPは「C+I+G+(X-M)」で算出され、「C(消費)」が減少するとGDPが減少する。しかし、バイブコーディングにより企業は専用ソフトウェアを開発し、ビジネスは拡大している。知能を基盤とする経済「Intelligent Economy」においては、バイブコーディングで巨大な知財を獲得することができる。AGIの経済効果は「Deflationary(デフレ)」であり、インテリジェンスのコストが縮小し、低コストで大きなビジネス効果を得ることができる。GDPはこの現象を反映しておらず、ポストAGI経済では新たな指標の導入が必要となる(下の写真)。

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「Digital Feudalism」 デジタル時代の封建制度
このままAGI開発が進むと一部の企業が技術を掌握し富が集中する社会となる(下の写真)。これは「Digital Feudalism」と呼ばれ、デジタル時代の封建制度を意味する。テック企業が巨大な収益を上げ、国民は政府の社会保障制度に依存して生活する。UBI(Universal Basic Income)が導入され、国民は最低限の所得を保障される社会となる。また、国家間でAGI開発競争がし烈となり、国が独自のAGIを構築し、グローバル社会が分断されることも懸念される。

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「Human Symbiosis」 AGIが人間をエンハンス
AGI社会を如何に構築するかについての議論が識者の間で白熱している。Emad MostaqueはAIが人間の機能をエンハンスする社会「Human Symbiotic」を提唱する。Human SymbioticとはAGIが人間を置き換えるのではなく、人間の生きる目的をエンハンスする仕組みを意味する。「ロボット・スーツ」が人間の作業や歩行をアシストするように(下の写真)、AGIが人間の機能をエンハンスする社会像を描く。このまま進むとデジタル封建社会に向かうが、これを回避するために幾何学エンジニアリング(社会経済制度を最適化する工学)で理想の社会を構築する。

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AGI社会に向けた準備
OpenAIのSam Altmanは今年後半にAGIを出荷すると述べ、人間レベルのインテリジェンスはSF映画のストーリーではなく、いよいよ社会に投入される。開発企業はAGIのプラス面を強調するが、アカデミアや識者はAGIのリスクを評価し、これを制御するための研究開発を進めている。製品出荷を目前に控え、AGI社会に向けた様々な構想が提示され、サイバースペースで議論が白熱している。