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Googleは生成AIハイエンドモデル「Gemini Ultra」を公開、GPT-4を超えOpenAIの独走が終わる

Googleは2月8日、生成AIのハイエンドモデル「Gemini Ultra」をリリースした。OpenAIのGPT-4を上回る性能で、この市場で首位を奪還した。Googleは昨年12月、Geminiを発表しベンチマーク結果を公表したが、Gemini Ultraはリリースされず、実際にモデルを使うことはできなかった。GoogleはUltraの公開に合わせ、製品体系を一新し名称を「Gemini」に統一した。「Bard」は「Gemini」に改称され、GeminiはGoogleのAI製品を表すブランドとなった。

出典: Google

Geminiの製品体系

BardはGemini Ultraの投入により製品体系が二系統となった:

  • Gemini」:従来のBardで名称を変更。「Gemini Pro」に構築される。無償版。
  • Gemini Advanced」:新モデルで「Gemini Ultra」に構築される。有償版(月額19.99ドル)。

また、スマホ向けのアプリ「Gemini」がリリースされ、AndroidとiOSでGeminiの機能を使うことができるようになった。

Gemini Advancedとは

Gemini AdvancedはハイエンドモデルGemini Ultra 1.0に構築されるチャットボットとなる。このモデルがOpenAIのGPT-4に対抗する製品で、生成AI市場の二強を担う。インターフェイスは黒色をベースとし、高級感を醸しだしている(下の写真)。Bardの構成を踏襲しており、プロンプトを入力すると、モデルが回答を出力する。

出典: VentureClef

Gemini Advancedを使ってみる: 推論機能に強み

Gemini Advancedは、プロンプトの指示に従って情報を出力するが、人間のプロフェッショナルのように、対話しながら問題を解決する機能が優れている。難しいタスクをステップごとに分割し、それぞれを解決しながら、最終ゴールに到達する。例えば、映画の鑑賞会を立案する方法を尋ねると、Gemini Advancedは、イベントの基本情報や場所の好みなどを質問し、利用者と対話しながら、ステップごとに内容を議論し、最終的プランを提案する(下の写真)。イベントコーディネータと対話しながら、結婚式のプランを立案する方式に似ている。

出典: VentureClef

Gemini Advancedを使ってみる: マルチモダル機能

Gemini Advancedはマルチモダル機能が強化され、指示した内容に従ってイメージを生成する。例えば、「GoogleのAGI発表イベントのイメージを生成」と指示すると、それを描き出す(下の写真)。イメージの品質は他社製品と比べて優れているとは言えないが、そのアーキテクチャに特徴がある。他社は「Diffusion」という手法を使うが、Googleは言語モデル「Transformers」でテキストだけでなくイメージなどのマルチモダルをこなす。単一のアーキテクチャで異なるモードのメディアを処理できるため、効率的なネットワークを構成できる。

出典: VentureClef

Gemini Advancedを使ってみる: 全体の印象

Gemini Advancedを使い始めたが、Geminiの特徴を継承し、この機能が一段と強化されたとの印象を受ける。Geminiは、難しいコンセプトを分解して、モジュールごとに分かりやすく説明するアプローチを取る。学校の先生が生徒に、複雑な内容をステップごとに分け、それぞれを分かりやすく説明する方式に似ている。例えば、アメリカンフットボールで「サンフランシスコ フォーティナイナーズの攻撃の戦略と手法」を尋ねると、Gemini Advancedは、ヘッドコーチの攻撃に関する思想や、主要選手の役割など、多角的に体系立てて説明する(下の写真)。Gemini Advancedを使うと、難しい事柄を理解する時間が大幅に短縮されると感じる。

出典: VentureClef

価格体系

GeminiはBardの後継モデルとして無償で提供されるが、Gemini Advancedは有償モデルとなる。Gemini Advancedは、ストレージサービス「Google One」の中の「AI Premium」に含まれ、サブスクリプションは月額19.99ドルとなる(下の写真、右端)。AI Premiumには、Gemini Advancedの他にGmailなどのアシスタント機能が含まれる。この機能は「Duet AI」と呼ばれていたが、今回の発表で「Gemini」のブランドに統一された。

出典: Google

Gemini UltraとGPT-4の二強時代

Gemini AdvancedはGoogleのフラッグシップモデルで、OpenAIのGPT-4と互角の性能を提供する。GPT-4がリリースされ約一年が経過するが、GoogleがUltraを公開し、トップに追い付いた形となる。GPT-4は生成AI市場で独走してきたが、手ごわい競合相手が登場し、AI市場は二強時代に突入した

ホワイトハウスはAI大統領令の実施状況を公表、予定通り進行していることをアピール、しかし政権が変わるとAI政策が白紙になる危険性が指摘される

バイデン政権は昨年10月、AIの安全性に関する大統領令に署名し、米国企業に責任あるAI開発を求めた。今週、ホワイトハウスは大統領令の実施状況を公表し、規定された項目が予定通り進んでいることをアピールした。しかし、今年の大統領選挙で政権が変わると、大統領令は停止される可能性があり、米国のAI政策が岐路に直面している。

出典: Adobe Stock

大統領令の概要

バイデン大統領は昨年10月、責任あるAI開発と技術革新を推進するため、大統領令「President’s Executive Order on Safe, Secure, and Trustworthy Artificial Intelligence (14110)」に署名した。大統領令は、AIが悪用されないため、セーフガードを設け、生物兵器の開発やサイバー攻撃を防ぐことを目的とする。また、AI開発企業には、大規模モデルの安全性に関する試験を実施し、その結果を報告することを求めた。米国政府はAI規制に消極的であったが、大統領令で政策を一転し、AIの危険性を制御しつつイノベーションを推進する方針を打ち出した。

90日目のチェックポイント

ホワイトハウスは大統領令を発行して90日目となる今週、その進捗状況を公表した。大統領令はAI規制に関し、実施項目(Action)と責任組織(Agency)と完了日(Required Timeline)が定められている。各省庁はこのアクションプランに沿って、規定された項目を期日までに実行することが求められる。発表によると、90日以内に実施する項目については、全て予定通り完了した(下のテーブル、一部)。

出典: White House

アクションプランの主な成果

大統領令は広範なアクションを定めているが、AI開発企業に大規模言語モデル(ファウンデーションモデル)の安全性を試験し、その結果を報告することを義務付けている。この項目は、商務省の管轄で、90日以内にタスクを完了することを求めている。具体的には:

  • モデルの安全性に関する試験 :法令「Defense Production Act」に従ってAI開発企業にファウンデーションモデルの安全性を試験することを要請。(注:対象はGPT-4を超えるモデルで、次世代の生成AI開発でこの規定が適用される。)
  • モデルの開発状況の監視:クラウド事業者に外国企業がファウンデーションモデルを開発していることを監視し、それを報告することを求めた。この規定に関するドラフトが完成。(注:外国企業が米国のクラウドでファウンデーションモデルを開発することを規制する。)

大統領令の限界

大統領令は米国の大統領が発行する命令(Directive)で連邦省庁の運営を管理する効力を持つ。法令とは異なり、連邦政府内に閉じて効力を持つ。また、大統領令は既存の法令の範囲で制定され、これに抵触する際は裁判所によりその効果が停止されることもある。大統領令は強制力や罰則規定は無く、連邦省庁の自主的な運用に委ねられる。

連邦議会の役割

このため、AI規制を安定して実施するためには、連邦議会による法制化が必須となる。責任あるAI開発を企業に求めるためには、議会が法律として制定し、開発や運用の手法を義務付ける必要がある。これにより、政権が変わってもAI政策が引き継がれることになる。米国連邦議会は、AI規制法に関し可決した法令は無いが、法令制定に向けた機運が高まってきた。

AI規制法の動き

民主党のChuck SchumerはAI規制法の準備をけん引しており、公聴会「AI Insight Forum」(下の写真)を9回開催し、法案の準備を進めている。また、民主党のChris Coonsなどは、ディープフェイクを禁止する法案「NO FAKES Act」を提案している。特に、人気歌手テイラー・スウィフトの不適切イメージがAIで生成され、ソーシャルメディアで拡散し、国民的な問題となった。ディープフェイクを禁止する法令が喫緊の課題となり、その動きが注目されている。

出典: AI Insight Forum

AI政策を継続するためには

AI規制に関しては、中国を念頭に国家安全保障にかかる問題で、ここは民主党と共和党が歩み寄れる領域とも言われる。大統領選挙が11月に実施されるが、仮に政権が変わったとしても、積み上げてきたAI政策を継続するためには、連邦議会による法制化が必須の要件となる。

ニューヨーク・タイムズはOpenAIを著作権侵害で訴訟したが情勢は芳しくない?和解の道を選択か?言語モデルの教育に関しルールの制定が求められる

ニューヨーク・タイムズはOpenAIとMicrosoftを著作権侵害で提訴した。これに対し、OpenAIは公式にコメントを発表し、AIモデルは著作権法に違反していないとの解釈を示した。一方、欧州連合のAI規制法は、AI企業に教育で使ったデータを開示することを求めており、これが事実上の国際規格と解釈されている。AI企業とメディア企業の間で教育データに関する新たなルールの制定が求められる。

出典: GPT-4

ニューヨーク・タイムズの訴訟

ニューヨーク・タイムズはOpenAIとMicrosoftを著作権侵害で提訴した。OpenAIはニューヨーク・タイムズの記事で言語モデルを開発し、AIモデルは記事の内容をそのまま出力し、報道事業を脅かすと主張する。ニューヨーク・タイムズは訴状で実例を多数示し、特定なプロンプトを入力すると、GPT-4が記事をそのまま出力し、著作権法に違反すると主張している。具体的には、プロンプトに記事のURLと最初の文章を入力すると(下の写真上段、黒字の部分)、GPT-4は記事をそのまま出力する(下段左側、赤字の部分)。これはオリジナルの記事(下段右側、赤字の部分)と同じ文章となっている。

出典: New York Times

OpenAIの主張

これに対し、OpenAIは訴訟に関し公式な見解を発表し、AIモデルの教育は合法的に実施されたと主張している。これは四つのポイントから成り:

  1. OpenAIはメディア企業と共同で新しい形態のビジネスを生みだしている
  2. モデルの教育はフェアユースでメディア企業にオプトアウトする選択肢を提供している
  3. 記事をそのまま出力するのはバグで修正を続けている
  4. ニューヨーク・タイムズはすべてを語っていない

OpenAIの主張のポイント

技術的な観点から、訴訟ではモデルの「教育」と「実行」が争点となる。

  • モデルの教育:新聞記事など著作物でアルゴリズムを開発することの合法性が議論となる。
  • モデルの実行:モデルが出力した内容が問われる。

OpenAIは、モデルの「教育」は著作権に抵触しておらず、モデルの「実行」はバグであり、問題点を修正していると主張する。

モデルの教育

OpenAIは、著作物で言語モデルを教育するのは「フェアユース(Fair Use)」で、著作権侵害には当たらないと主張する。この解釈は業界で定着しており、著作者と開発者の双方にメリットがある。また、AIモデルを著作物で教育する手法は、アカデミアや業界団体や著作者団体などから支持されている。更に、OpenAIはメディア企業にアクセスを禁止するオプションを提示しており、実際に、ニューヨーク・タイムズはOpenAIのクローラーが記事を収集するのを禁止ている。

出典: OpenAI

モデルの実行

モデルの実行関しては、アルゴリズムは著作物を学習し、学んだ内容を出力するが、これは記事全体ではなくその一部であり、法令で許容された範囲内であると主張する。また、訴状の中でGPT-4が記事全体を出力する事例が提示されているが、OpenAIはこれに対してはAIモデルのバグであり、問題解決を進めているとしている。

EU AI Actの解釈は

欧州連合はAI規制法「AI Act」の最終合意に至り、この法令が今年から順次、施行されることになる。OpenAIがEU域内で事業を展開する際は、AI Actに準拠することが求められる。著作権に関しては、AI Actはモデルの教育で使ったデータを公開することを求めている。また、著作物を教育データとして使う場合は、所有者に許諾を得ることを義務付けている。この二つの条項が著作権に関する事実上の国際標準と解釈されており、ニューヨーク・タイムズの訴訟で重要な指針となる。

ビジネス拡大に寄与

現在、ニューヨーク・タイムズはOpenAIが記事をスクレ―ピングすることを禁止しており、GPT-4は最新記事に関する情報は学習していない。Sam AltmanはGPT-4などの言語モデルが、メディア企業のビジネスに貢献しているとの解釈を示している。モデルが記事の要約を出力し、その出典を示すことで、ニューヨーク・タイムズの記事の閲覧回数が上がるとの考え方である。Google検索エンジンが読者をサイトに誘導するのと同じコンセプトで、AIモデルがニューヨーク・タイムズのページビューを増やすとしている。(下の写真、最新モデルのGPT-4はニューヨーク・タイムズの記事は出力しないで、記事へのリンクを示している。)

出典: OpenAI

両社の合意は近い?

ニューヨーク・タイムズがOpenAIを提訴したのは、著作権に関する交渉を有利に進めるための手段とみられている。ニューヨーク・タイムズは法廷で勝訴することが目的ではなく、著作物のライセンス料を高値で合意することを目指している。OpenAIはメディア企業と提携を進めているが、著作物を教育で使うために100万ドルから500万ドルを支払っているとの情報もある。ニューヨーク・タイムズは記事のライセンス条件についての交渉を進めているが、両社の合意は近いとの見方もある。

OpenAIはアップストア「GPT Store」でChatGPTアプリ「GPT」の販売を開始、企業の事務効率を劇的に改良するアプリの開発が進む

OpenAIは1月10日、GPTのアップストア「GPT Store」の運用を開始した(下の写真)。GPTとは用途に特化した専用のChatGPTで、生成AIのアプリケーションとして機能する。Appleの「App Store」でiPhoneアプリを購入するように、GPT StoreでChatGPTアプリを利用する。多くのGPTを使ってみたが、ビジネスに役立つアプリが多く、企業はこれを導入して事業プロセスを効率化できる。米国企業はGPTに着目しており、今年は生成AIを導入する流れが加速する。

出典: OpenAI

GPTとは

GPTはカスタムバージョンのChatGPTで、独自のスキルと知識を持ち、特定分野で能力を発揮する。GPTは用途に特化した専用のChatGPTで、生成AIのアプリケーションとして位置付けられる。OpenAIはGPTのアップストア「GPT Store」の運用を開始し、GPTの販売を開始した。AppleのApp Storeと異なり、GPT Storeにはビジネスに役立つアプリが数多く掲載されており、利用者の中心が企業ユーザとなる。

GPTを使ってみると

GPT Storeには多くのGPTが掲載されており、その数は300万件を超える。使い方はシンプルで、GPT StoreでGPTを選択し、それをスマホやPCで実行する仕組みとなる。GPT Storeには多彩なモデルが掲載されており、仕事や研究や開発でプロセスを効率化するツールが揃っている。ソフトウェアツールとは異なり、GPTは生産性を劇的に向上する。企業や研究所にとって必須のツールになる。同時に、GPT Storeに掲載されているアプリの品質には大きな幅があり、役に立たないモデルも数多く、その見極めが難しい。

Writing:文章作成で品質を向上するアプリ

GPT Storeには文章生成を効率化するための多種類のアプリが掲載されている。ビジネスドキュメントの開発を支援するGPTが最も注目されている。「Fully SEO Optimized Article including FAQ’s」というGPTは、タイトルとキーワードを指定すると(下の写真上段)、それに沿ってブログ記事を生成する。GPTは指示された内容に沿って、アウトラインを生成し、ドキュメントの構成を提示する(下段)。

出典: OpenAI

最終的に、GPTはアウトラインに沿ってコンテンツを生成し、検索エンジンの上位に掲載される、記事を完成する(下の写真)。多くのスタートアップ企業が同様なモデルを投入しており、生成AIアプリにとってここが主戦場となる。

出典: OpenAI

Productivity:ビジネスの生産性向上アプリ

生産性向上アプリは企業が日常業務を効率化するために使われる。「VideoGPT」というGPTは、指定された条件に沿ってビデオを生成する。企業が製品のプロモーションビデオを制作する際に利用できる。製品の概要や利用シーンを指定し、ビジュアルとオーディオの特性を示すと(下の写真左側)、アプリがこれに沿ったビデオを生成する(右側)。プロンプトに沿ってGPTがライブラリからビデオを抽出し、これを組み合わせて最終コンテンツを生成する。ChatGPTがビデオを生成しているのではなく、プロンプトに従ってクリップを組み合わせてビデオを完成する。

出典: OpenAI

Research & Analysis:研究や解析のためのツール

研究者のためのGPTが開発されている。これらの多くは、公開された学術論文を参照し、科学に裏付けられた回答を導き出す。「ScholarAI」というGPTは、科学技術に関し仮定を設定し、それを過去の論文を参照して検証する。例えば、「ロボット手術でVR技術の役割を検証せよ」と指示すると、過去の論文「医師の教育でVR技術が有効である」を参照して、評価レポートを制作する(下の写真)。

出典: OpenAI

Programming:コーディング支援アプリ

コーディング技術はもはや不要で言葉でプログラムを作成できる。これは「Prompt-Gramming」と呼ばれ、プロンプトでプログラムの内容を指示すると、GPTがそれに合ったコードを生成する。「DesignerGPT」というGPTは、ホームページを生成するアプリで、プロンプトに従って(下の写真左側)、ウェブページを生成する(右側)。プロンプトでホームページの構成やイメージを指示すると、それに沿ったHTMLを生成する。

出典: OpenAI

DALL·E:イメージ生成アプリ

DALL·EとはOpenAIが開発したモデルで、言葉の指示に従ってイメージを生成する。GPT-4とは異なり、ディフュージョン(拡散、Diffusion)という技法で、極めてリアルなイメージを生成する。人気のジャンルで、ここにイメージを生成するGPTが掲載されている。その中で「Super Describe」というGPTは、入力された写真(下の写真左側)を、独自のスタイルでその複製(右側)を生成する。企業がオリジナル作品から、その派生イメージを生成する際に利用できる。一方、派生イメージがオリジナルの著作権を侵害しないなど、合法的な利用法が求められる。

出典: OpenAI

企業向けのGPT

企業はGPTで業務を効率化するためのアプリを簡単に開発できる。開発したGPTは外部に公開することなく、社内で安全に利用できる。OpenAIはGPTの利用シーンを示しており、企業は”人事GPT”を開発し、GPTが福利厚生に関する質問に回答するなどの利用法がある。「HR Helper」というGPTは、健康保険の掛け金に関する質問に回答する(下の写真)。人事規定は企業ごとに異なるが、社内ルールを反映したGPTを簡単に作成して運用できる。昨年は、ChatGPTの技術評価が進んだが、今年は生成AIをビジネスに適用する流れが本格化する。

出典: OpenAI

OpenAIはGPTのアップストアを開設、カスタムChatGPTの購入や販売が始まる、企業は生成AIをビジネスに統合する流れを加速

OpenAIは1月10日、GPTのアップストア「GPT Store」の運用を開始した(下の写真)。GPTとは用途に特化した専用のChatGPTで、生成AIのアプリケーションとして位置付けられる。Appleの「App Store」でiPhoneアプリを購入するように、GPT StoreでChatGPTアプリを利用する。既に300万件のChatGPTアプリが掲載されており、生成AIのエコシステムが急成長している。また、企業はChatGPTをビジネスに適用する取り組みを加速している。

出典: OpenAI

GPTとは

ChatGPTに対して、「GPT」はカスタムバージョンのChatGPTで、昨年11月にOpenAIの開発者会議で公開された。通常のChatGPTはインターネットの情報で教育され、多彩な知識を持ち、指示されたタスクを幅広く実行する。しかし、企業や消費者は独自のタスクに特化したカスタムChatGPTを求めており、この解がGPTで、独自のスキルと知識を持ち特定分野で威力を発揮する。

GPTの販売が始まる

GPT Storeには多くのGPTが掲載されており、ここでアプリを購入し、それをスマホやPCで実行する仕組みとなる。GPT Storeは分野ごとに区分され、多彩なカスタムChatGPTが掲載されている:

  • Featured / Trending:人気のアプリ
  • DALL·E:イメージ生成アプリ
  • Writing:文章作成で品質を向上するアプリ
  • Productivity:ビジネスの生産性向上アプリ
  • Research & Analysis:研究や解析のためのツール
  • Programming:コーディング支援アプリ
  • Education:生徒や教師向けの教育支援ツール
  • Lifestyle:日常生活を支援するアプリ

人気のGPTは

GPT Storeには、消費者向けのアプリの他に、企業や研究者向けのツールが幅広く掲載されている。また、アプリの人気ランキングが公開され、注目を集めているGPTが分かる(下の写真)。

出典: OpenAI

人気アプリConsensusとは

一番人気のアプリは「Consensus」で、研究や解析のためのツールとし、開発者の活動を支援する。Consensusは2億件の学術論文で教育され、研究成果に特化したChatGPTとなる。研究者の質問に、ChatGPTは過去の論文を引用して回答する。例えば、大規模言語モデルの研究で「Transformers」の論文を引用しているものを尋ねると、ChatGPTはそれを的確に回答する(下の写真)。

出典: OpenAI

イメージを生成するアプリ

GPTはイメージ生成技術「DALL·E」とリンクしており、言葉の指示に従って、多彩なグラフィックスを生成する。人気アプリ「Logo Creator」は対話形式で会社のロゴを生成する。例えば、アイスクリームショップは好みのデザインを反映したロゴを簡単に生成できる。GPTと対話しながら、色やトーンやメッセージなどを指示すると(下の写真左側)、DALL·Eはそれに沿ったロゴを制作する(右側)。

出典: OpenAI

消費者向けのアプリ

GPT Storeには消費者向けのアプリが数多く掲載されている。その中で人気のGPTが「AllTrails」で、ハイキングのコースを教えてくれる。対象とする地域を指定し、コースの難度などを対話形式で入力すると(下の写真左側)、最適なコースを出力する(右側)。GoogleやChatGPTで検索することもできるが、GPTはズバリ回答を示すので使って便利と感じる。

出典: OpenAI

企業向けのGPT運用環境

OpenAIは「Assistants API」などGPTを開発する環境を公開しており、企業はここで簡単に、専用のChatGPTアプリを開発できる。更に、企業は開発したGPTを一般に公開することなく、社内で安全に運用できる環境が提供された。これは「Team」と呼ばれ、ChatGPTとGPTを社内でセキュアに運用できる環境となる。ここで企業は業務に特化したGPTを開発し、社内データを統合し、機密情報がリークすることなく安全に利用できる。

出典: OpenAI

企業は生成AIの導入を加速

これに先立ちOpenAIは、企業向けのChatGPTサービス「Enterprise」を投入しており、「Team」と合わせ、企業向けの生成AIの開発と運用の環境が拡充された。既に、260社が「Enterprise」のユーザであるとされ、企業が業務にChatGPTを導入する流れが加速している。企業内でビジネスに特化したGPTを開発し、これを安全に運用する環境が提供され、企業が生成AIをビジネスに適用するトレンドが鮮明になった。