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テスラは自動車メーカーから「フィジカルAI」企業に進化、クルマ事業を縮小しヒューマノイド・ロボットを主力製品とする、シリコンバレーでロボット工場を操業し年間100万台を製造

テスラのCEOであるイーロン・マスクはクルマの製品ラインを縮小しヒューマノイド・ロボットを量産することを明らかにした。サンフランシスコ近郊のフリーモント工場でEV「モデルS」と「モデルX」を製造しているがこの生産を中止し、ここでヒューマノイド・ロボット「オプティマス(Optimus)」を量産する。中国EVメーカーの躍進でテスラの販売台数が減少に転じ、事業戦略の見直しを迫られていた。マスクは決算発表で、テスラは自動車メーカーからフィジカルAI企業に転換することを表明し、ヒューマノイド・ロボットと自動運転車を次のコア事業とするとの構想を示した。

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クルマ製品ラインの縮小

テスラは高級モデルの「モデルS」と「モデルX」のラインの製造を今年第二四半期で打ち切る。これによりテスラは普及モデルの「モデル3」と「モデルY」、及び、「サイバートラック」に絞り込む(下の写真)。マスクによると、高級モデルの販売台数は全体の3%で、リソースを普及モデルに集中し、ロボティックスの開発製造に資源を振り向けるとしている。

出典: Tesla 

ロボットの製造工場

テスラ「モデルS」と「モデルX」はカリフォルニア州フリーモントの工場で製造されている(下の写真)。この製造施設をヒューマノイド・ロボット「オプティマス」に振り向け、ここで量産体制を確立し、ロボット製造のハブとする。既に、オプティマスはこの工場で生産が開始され、2026年末に出荷を予定し、2027年からは量産体制に入り、年間100万台を製造する。

出典: Tesla 

オプティマスとは

ヒューマノイド・ロボット「オプティマス(Optimus)」は人間の形状をしたロボットで、研究開発の段階から製品化の段階に入った。最新モデルは「Gen 3」(第三世代のロボット、下の写真)で、今年初頭から生産が始まった。第三世代のオプティマスはロボットハンドが大きく改良され、22の自由度(22 degrees of freedom)を持ち、人間レベルの器用さで柔らかいオブジェクトを掴み、ツールを使うことができる。また、歩行技術が格段に進化し、今までは中腰で歩いていたが、これが人間のように自然な歩行(かかとつま先歩行)ができ安定性が進化した。

出典: Tesla Optimus

ロボットのブレイン

オプティマス最新モデルは高度なAIモデルを搭載しており、カメラのイメージを解析して自律的に歩行する。このAIモデルはテスラ自動運転技術である「Full-Self Driving (FSD)」の最新モデル「v13」をベースにしている。アルゴリズムは「Vision-Based Neural Networks」と呼ばれ、単一のAIモデルが入力シグナルを解析しデバイスを操作する命令を出力する。従来モデルは、人間が開発したソフトウェアが次のアクションを生成していたが、最新モデルは全てのプロセスをAIモデルが実行する。

ロボットの適用分野

オプティマスはテスラの製造工場「ギガ・テキサス」に導入されクルマの製造を実行している。マスクは自動車の製造ラインで人間に代わりオプティマスを導入し、製造ラインを自動化する構想を示している。また、オプティマスは他の製造企業でも導入され、社員が3-5台のロボットを使って作業すると予測する。また、消費者向けには各家庭が1台のロボットを所有する時代が始まると述べている。マスクはヒューマノイド・ロボットの販売台数はスマートフォンを上回り巨大産業になるとのビジョンを示している。(下の写真、製造工場でオプティマスが作業員をアシストする)

出典: Tesla Optimus

次世代の自動運転車

ロボティックスのもう一つの基軸はロボタクシーで、テスラは「サイバーキャブ(Cybercab)」(下の写真)の開発を進めている。サイバーキャブは次世代EVをベースとし、完全自動運転のクルマとなる。クルマはステアリングやペダルは備えてなく、最初から人間の介在を必要としないレベル4の完全自動運転車としてデザインされている。テスラはこれを消費者向けに販売するとともに、タクシーとして運行するネットワークを導入する。サイバーキャブの価格は3万ドルで、製造は2026年4月からギガ・テキサスで開始される。

出典: Tesla Optimus

テスラはフィジカルAI企業

テスラのコア事業はロボティックスでヒューマノイド・ロボットとサイバーキャブが両輪となる。(先頭の写真、テスラのショールームで「オプティマス」と「サイバーキャブ」の販売が始まる) マスクはテスラの企業価値の80%をヒューマノイド・ロボットが生み出すと述べており、自動車産業の次の巨大産業となる。テスラは配下でAI企業xAIを運営しており、最新のAIモデルがヒューマノイド・ロボットとロボタクシーに搭載される。テスラは他のAI企業とは異なり、物理社会でインテリジェンスを生み出すフィジカルAIがコア事業となる。

Teslaは自動車メーカーからロボティックス企業に転身!!ヒューマノイドとロボタクシーが中核技術、半導体ファブを建設しAIチップを製造

Teslaは11月6日、株主総会を開催しElon Muskへの1兆ドルの報酬パッケージが承認された。これを受けて、Muskは規定されたゴール(Trench)を達成するために、企業の新たなビジョンを解説した。Muskは、Teslaは “サステイナブル・アバンダンス(Sustainable Abundance)”企業に転身した、と宣言した。コアビジネスはヒューマノイド・ロボットと自動運転で、高度なAIをフィジカル社会に展開する。このために膨大な量のAIチップが必要となり、Teslaは半導体ファブを建設し自社でAIチップを製造する。会場ではロボットがダンスし、参加者が歓声をあげ、ロックコンサートのようなバイブで株主総会が進んだ(下の写真)。

出典: Tesla

サステイナブル・アバンダンス

Muskは、Teslaは新たなチャプターに足を踏み入れたのではなく、全く新しい会社に転身したと説明した。また、Teslaの社是は「サステイナブル・アバンダンス(Sustainable Abundance)」で、自然や社会環境を保全しながら、テクノロジーの恩恵を幅広く消費者に届ける(下の写真)。サステイナブル・アバンダンスは持続可能な豊かさを意味し、AIやロボティックスにより商品やサービスの価格が劇的に下がり、万人が豊かな生活ができる社会が到来する。

出典: Tesla

ヒューマノイド・ロボット

Teslaはヒューマノイド・ロボット「Optimus」(下の写真)を開発しており、Muskはロボットが会社の最重要製品になるとのビジョンを示した。消費者向けには、各人が1台のロボットを所有する時代が始まる。企業向けには、社員が3-5台のロボットを使って業務を実行する形態になる。報酬パッケージのゴールの一つがOptimusを100万台販売することで、Muskはヒューマノイド・ロボットの販売台数はスマートフォンを上回るとの見通しを示した。

出典: Tesla

ヒューマノイド・ロボットの開発状況

Teslaは自動運転車を開発しており、クルマを四輪ロボットとして捉えることができる。これをヒューマノイド・ロボットに展開することになり、Teslaは既存技術を活用でき有利なポジションにいる。Teslaはシリコンバレーの製造施設で、ヒューマノイド・ロボットの製造開発を進めている(下の写真)。現行のOptimusは「V 2.5」であり、2026年にはこれを「V3」のアップグレードする。更に、2027年には「V4」を2028年には「V5」を開発し、ロボットは人間レベルに急成長する。

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自動運転技術

Teslaは自動運転技術「Full Self-Driving (FSD)」を開発しており、カメラをセンサーとしクルマが自律的に走行する。現行モデルは「V14.1」で「FSD Supervised」と呼ばれ、人間のスーパービジョンのもとで自動走行する。次期モデルは「V14.2」と「V14.3」で、技術が大きく進化し、人間が監視する必要は無く、クルマが完全自動で走行する。これは「FSD Unsupervised」と呼ばれ、ドライバーは運転中にスマホでテキストメッセージを送信できる。「V14.3」は2025年末までにリリースされる。

出典: Drive Tesla

サイバーキャブ

Teslaはロボタクシー「サイバーキャブ(Cybercab)」の開発を進めており、クルマはステアリングやペダルの無い専用モデルとなる(下の写真)。クルマは完全自動運転でドライバーの介在なく目的地まで走行する。

出典: Tesla

サイバーキャブ製造

サイバーキャブは2026年4月からテキサス州の製造施設「Giga Texas」で生産が始まる(下の写真)。サイバーキャブはクルマより電化製品に近い構造で、生産プロセスを自動化し大量生産する。初期の生産台数は年間200万台から300万台で、最終ゴールは年間500万台となる。

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AIチップ

Teslaはクルマやロボットに搭載するAIチップを自社で開発している。次世代モデルは「AI5」と呼ばれ、現行モデルから性能が50倍向上する(下の写真)。AI5はインファレンス専用チップで、開発されたAIモデルを実行するために使われる。更に、トランスフォーマの重みの計算では浮動小数点ではなく整数が使われる。これにより演算速度が大きく向上し、AI5はNvidia Blackwellに匹敵する性能を1/10のコストで実現した。但し、AI5とBlackwellはアーキテクチャが大きく異なり、対等に比較することは難しい。AI5はTeslaが開発したAIモデルだけに適用される専用プロセッサで、これに対し、Blackwellは広範囲なAIモデルを稼働させることができる汎用プロセッサとなる。

出典: Tesla

半導体製造ファブ

MuskはAI5など自社製AIプロセッサを製造するためのファブを建設することを明らかにした。これは「Terafab」と呼ばれテキサス州オースティンに建設される。TeslaはAIプロセッサの製造をTSMCやSamsungに委託しているが、新たなロードマップでは大量のAIチップが必要となり、アウトソーシングだけではこの需要を満たすことができない。このため、Muskによると、Intelと提携してファブを建設する。製造量は月産10万ウェーファで、AIチップをクルマ、ロボタクシー、ヒューマノイド・ロボットに搭載する。(下の写真、Terafabの想像イメージ)

出典: Google Gemini 2.5 Flash Image

分散コンピューティング

この構想によりTesla車両には最新のAIチップが搭載され、100万台を超えるクルマが高速プロセッサを運用する。これらのAIチップを連結すると100ギガワット相当の巨大なデータセンタとなる。Muskこれを「Distributed AI Inference Fleet」と呼び、AIモデルを実行するための分散コンピューティング環境となる。ギガワットクラスのデータセンタの建設が進むが、テスラ・フリートが新方式のデータセンタとなる。

サプライチェーンの強化

Teslaはバッテリーのコアコンポーネントであるリチウムの精錬施設の建設を開始した。この施設は「Lithium Refinery」と呼ばれ、テキサス州コーパスクリスティに建設され、リチウムの原料となる鉱石からバッテリーで使う高純度なリチウムを抽出する。また、Teslaはバッテリーのカソードを製造するための工場を建設している。この施設はクルマを製造している「Giga Texas」(テキサス州オースティン)の施設内に建設される。これにより、レアアースを輸入に依存することなく、自社で製造することでサプライチェーンを強化する。(下の写真、Teslaが運用するバッテリー製造工場)

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Teslaの企業価値

Muskは基調講演の冒頭でTeslaは「サステイナブル・アバンダンス(Sustainable Abundance)」企業に転身したと宣言した。AIやロボティックスや自動運転技術で、製品やサービスの価格が劇的に低下し、Teslaは技術の恩恵を幅広く提供する。Muskはこれにより社会から貧困を撲滅できるとの見解を示した。Teslaのコア技術がロボティックスで、Optimusが企業価値の80%を担うことになる。(下の写真、太陽光発電の電力を貯蔵する大規模バッテリーアレイ)

出典: Tesla