2035年不老不死の技術が登場!? もう15年健康でいれば永遠に生きられる

Ray Kurzweilは2045年にSingularityに到達し、AIが人間の知能を追い越すと予測する。また、Kurzweilは2035年までに人類は不老不死の技術を手に入れると予測している。これは「Longevity Escape Velocity」という考え方で、我々が一つ歳を取るうちに、技術進化で寿命が一年以上伸びることを意味する。つまり、我々は老いるより早く若返ることを意味し、あと15年元気であればこのポイントに到達する。

出典: MIT

旧約聖書創世記

旧約聖書(Old Testament)の創世記(Genesis)に登場する原初の人類は寿命が格段に長い。最初の人間アダム(Adam)は930歳まで生きたと記されている。ノアの箱舟(Noah’s Arch)でなじみ深いノア(Noah)は950歳まで生きた。ノアは500歳で三人の子供をもうけ、600歳の時に神のお告げに従い箱舟を作り、家族と他の動物たちと一緒に乗り込んだ。

寿命が短くなる

一方、箱舟を流した大洪水の後は聖書に登場する人物の寿命は徐々に短くなっていく。出エジプト記(Book of Exodus)で登場するモーゼ(Moses)は、虐げられていたユダヤ人(Israelite)を率いてエジプトから脱出するが120歳で亡くなっている。120歳が人間の寿命の限界と考えられる所以はここにある。(下のグラフ、旧約聖書に登場する人物の寿命をプロットしたもの。ノアからモーゼまで寿命は指数関数的に減衰(Exponential Decay)している。)

出典: Institute for Creation Research

寿命が短くなった理由:宗教的解釈

大洪水の前は長生きをしていのに、その後寿命が短くなっていくが、その理由について様々な解釈がある。その一つが、ノアの洪水の時、神は人間の寿命の上限を120歳に定めたという解釈。ノアの洪水からモーゼの出エジプトまでは750年の開きがあるが、この期間に寿命が950歳から120歳まで徐々に短くなった。これは神が介入(Devine Intervention)し遺伝子を操作し、それが年代を経て伝わり、寿命が徐々に短くなったという考え方で、宗教界ではこの解釈が一般的。

寿命が短くなった理由:生物学的解釈

一方、バイオロジーの観点からは、寿命が短くなったのは生物進化に原因があると解釈されている。人間にとって長寿はデメリットであるという考え方で、食料が不足していた時代には、若い世代を育てるために、高齢の世代は早く死んでいく。これにより食料が若い世代に行き渡り、子孫が繁栄できる。生物学的に理のかなったプロセスで、これがアカデミアの一般的な解釈となる。

Longevity Escape Velocity

食料が足りている今の時代に、120歳に制限された人間の寿命を延ばす研究が進んでいる。また、人間は何歳まで生きることができるのか議論が続いている。その一つが「Longevity Escape Velocity」という考え方で、長寿を達成するための仮定として議論される。具体的には、Longevity Escape Velocityは1年歳を取る間に、1年以上寿命が延びる状態を意味する。例えば、一つ歳を取る間に、寿命を二年延ばす技術が登場すると、人間は永遠の生命を手にすることになる。(下のグラフ、Longevity Escape Velocityを示したもので、縦軸が平均余命で、いま50歳以下の人は永遠に寿命が延びる。一方、いま80歳以上の人はこの恩恵にあずかれない。)

長寿技術の進化

Longevity Escape VelocityというコンセントはRay Kurzweilらが提唱したもので、人間の寿命を予測するためのモデルとなる。KurzweilはLongevity Escape Velocityへの到達は予想外に早く、もう10年から12年するとこの技術が登場すると述べている。また、これを達成するには抗がん剤などの医薬品では不可能で、バイオロジーの進化が必須となる。具体的には、超小型ロボット(Nanobot)を開発し、これらが免疫システムとして稼働する。超小型ロボットは白血球のようにがん細胞を見つけてそれを破壊する役割を担う。また、損傷した組織を修復する機能も持つ。

出典: Wikipedia

未来予測の手法

KurzweilのSingularityは世界の注目を集めているが、Longevity Escape Velocityについては知名度が低い。Longevity Escape VelocityはSingularityと同様に未来予測であり、どれだけの精度で的中できるのかはわからないが、Kurzweilの過去の実績を見ると八割の精度で予想を的中させている。Longevity Escape Velocityについても予測通りの未来が到来するのかもしれない。

結果を見届ける

つまり、Kurzweilの予測が正しければ、2035年ころまでにはLongevity Escape Velocityの技術が登場する。予想外に早く長寿の技術が登場し、あと15年ほど健康でいれば、不老不死の技術の恩恵を受けることができる。これはあくまでKurzweilの予測であるが、AIやバイオロジーが加速度的に進化する中、あと15年健康で暮らしてLongevity Escape Velocityの結果を見届けるのもいいかもしれない。