Waymoは、2019年4月、無人タクシーサービス「Waymo One」向けのアプリを公開した。このアプリをGoogle Playからダウンロードして利用する。Uberを使う要領で、アプリからWaymoに配車をリクエストする(下の写真)。無人タクシーサービスはアリゾナ州フェニックスで展開されている。今までは実証試験として利用者を限定してきたが、今月からこのサービスが一般に公開された。

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Waymoは2017年から、アリゾナ州フェニックスの特定地域で無人タクシーの実証実験「Early Ride Program」を進めてきた。2018年12月、Waymoはこれを商用ベースに切り替え、「Waymo One」という名称で無人タクシーサービスを開始した。Waymo Oneは実証実験への参加者を対象に限定的に進められてきたが、今月からこのサービスを一般に公開した。
専用アプリを公開
Waymo Oneを使うには、公開されたアプリをスマホにダウンロードして利用する。ただ、すぐに利用できるわけではなく、アプリはWaymo Oneの利用申請書となっている。アプリを起動するとWaymo One利用申し込みの画面となり、ここで利用を申請し、これが認可されるとサービス利用できる(下の写真)。当初はフェニックスの特定地域に居住している住民が優先される。

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アプリの使い方
申請が認可されると公開されたアプリからWaymo Oneのサービスを利用できる。配車をリクエストする際には、乗車場所(Pickup Point)と降車場所(Dropoff Point)を指定する(下の写真左側と中央)。これに対してアプリはこの近傍の最適な乗車場所と降車場所を示し、これでよければリクエスト(Request Ride)ボタンを押すとクルマが配車される(下の写真、右側)。これは有料のサービスであるが料金体系は公開されていない。

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料金を計算すると
一方、アプリの画面には、Element Chandler Fashion CenterからDowntown Chandlerまで走行すると料金は$7.32との記述がある。この区間の距離は4.5マイルで所要時間は11分程度で、ここから計算すると料金単価は$1.63/マイルとなる。また、同じ区間をUberXで走行すると$9.92となり、30%ほど安く設定されている。
車内のディスプレイ
クルマが配車され乗車すると、座席の前のディスプレイに目的地と所要時間・到着予定時間が示される。これを確認して「Start Ride」ボタンを押すとクルマは発進する。走行中はクルマのディスプレイに運行状況が表示される(下の写真)。ここにクルマが認識する周囲の状態が表示され、車線や横断歩道、他の車両や歩行者などがグラフィカルに表示される。走行に影響するオブジェクトはハイライトして示される。到着地でクルマを降りると料金はアプリに課金される。

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オペレーターのサポート
走行中に乗客はWaymo Oneのオペレーターと会話することができる。ディスプレイの「Support」ボタンを押すと、電話がコールセンターに繋がり、オペレーターと話をすることができる。例えば、「行き先を変更したいがどうすればいいのか?」などと問い合わせることができる。無人タクシーではオペレーターがドライバーに代わり乗客をサポートする。
一般公開の意義
Waymo Oneが一般に公開されたことは、無人タクシーの商用サービスに向け大きく前進したことを意味する。実証実験では参加者は厳しい制約の下でWaymo Oneを利用してきた。参加者は守秘義務にサインし、知りえた情報を外部に公開することは禁止されていた。また、社内でビデオや写真撮影は禁止され、また、参加者以外の人を同乗させることはできなかった。サービスの一般公開でこれらの制限が撤廃された。
体験レポート
これに伴い、ネット上でWaymo Oneの乗車体験レポートが目立つようになった。ある利用者は、Waymoが渋滞のハイウェイでうまく車線変更できた様子をYouTubeに掲載している。一方、ショッピングセンターの道路が大勢の歩行者で込み合い、クルマは立ち往生したとの報告もある。結局、アルゴリズムがタイムアウトとなったのか、セーフティドライバーがコールセンターに連絡し、ルートを再計算して再起動した。当面はセーフティドライバーが搭乗し、クルマが完全に自動走行できるにはもう少し時間がかかりそうな様子がうかがえる。

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カリフォルニア州での営業運転
コールセンターはフェニックス、オースティン、及び、マウンテンビューに開設されている。フェニックスの次はこれらの都市でWaymo Oneの営業運転が始まる可能性が高い。事実、Waymoはカリフォルニア州で自動運転車を無人で運行するための認可を受けた。自動運転車の走行ではセーフティドライバーの搭乗が義務付けられていたが、これにより無人車両を公道で走らせることができるようになった。Waymoが認可を受けた最初の企業となり、Waymo Oneの営業運転の環境が整ってきた。