コロナがデジタルトランスフォーメーションを加速しているが、レストランもデジタル化を進めている。デジタルなレストランはGhost Kitchenと呼ばれ、店舗を持たない配送専門の飲食店となる。Ghost Kitchenはキッチンだけの施設で、注文を受けた料理を調理し、消費者宅まで配送する。DoorDashは仮想レストラン「DoorDash Kitchens」をシリコンバレーにオープンし営業を開始した(下の写真)。

出典: VentureClef |
オンデマンドの出前サービス
DoorDashはサンフランシスコに拠点を多く新興企業で、レストラン出前サービスで急成長している。コロナの感染拡大でレストランは営業自粛を求められ、事業存続の危機に瀕している。多くのレストランは生き延びるため、DoorDashなどのオンデマンド配送サービスを利用し、宅配に特化した事業モデルにシフトしている。
DoorDash Kitchens
DoorDashは新たな試みとして仮想レストランの事業を始めた。これが「DoorDash Kitchens」で、シェフや事業者向けに調理場を提供する。シェフは店舗を持つ必要はなく、DoorDash Kitchensを借りて、簡単にレストランを運営できる。DoorDash Kitchensはダイニングスペースはなく、出前と受け取り専用のレストランとなる。
実際に使ってみると
実際にDoorDash Kitchensを使ってみたが、美味しい料理を短時間で受け取ることができ、とても便利だと感じた。専用アプリでレストランを選択し、そこで料理を注文し、それをDoorDash Kitchensで受け取る手順となる。ここでThe Italian Homemade Companyというレストランでパスタを注文し(下の写真、左側)、指定された時間にDoorDash Kitchensに出向き、料理を受け取った(下の写真、中央)。

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店舗で料理を受け取る
DoorDash Kitchensに到着すると、店舗は人目を引くデザインで、入り口にはDasher(宅配スタッフ)たちが出前の順番を待っていた(先頭の写真)。店舗内部にはダイニングスペースはなく、調理された料理がパッケージされ、棚に置かれていた(下の写真、左側)。棚の裏側がキッチンになっており、複数のレストランが入店し、ここで注文を受けた料理を調理する(下の写真、右側)。

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シンプルで美味しい料理
ここでラビオリ(Ravioli)とニョッキ(Gnocchi)とフェットゥチーネ(Fettuccine)を注文したが(下の写真)、ベーシックなイタリアンで美味しかった。レストランでは手の込んだ料理が出るが、DoorDash Kitchensではシンプルで美味しい料理をキッチンで量産する仕組みとなる。ここには複数のレストランが入っており、イタリア料理の他にハラール料理やタイ料理など6店舗が入居している。

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事業戦略
DoorDash Kitchensはレストランのターンキーソリューションで、シェフはレストランを開設することなく簡単に事業を開始できる。また、DoorDashが調理した料理を宅配するので、シェフは調理に専念できる。DoorDash Kitchensがレストランというプラットフォームを提供し、シェフはここで仮想レストランを運営する。ちょうどクラウドの上でシェフというアプリが動く形態で、クラウド・レストランとも呼ばれる。コロナの感染が広がる中、DoorDash Kitchensのようなクラウド・レストランに注目が集まっている。

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アウトドアダイニング
レストランはデジタル化を進めるとともに、ダイニングスペースをオープン化する試みを始めた(上の写真)。マウンテンビュー市は通りを歩行者天国とし、レストランはここにソーシャルディスタンスを保ってテーブルを配置している。屋内の閉じた空間では感染の危険性が高く、オープンスペースで安全なダイニングを提供する。コロナ感染が急増しているので出向くのをためらうが、営業時間にはテーブルはほぼ満席で、レストランの新モデルとして注目されている。