これはもうNFTバブル!!デジタルアートに常識外の高値が付く、セレブが競って購入し市場は危険水域に

米国でNFT取引がブームを通り越しバブルとなっている。NFTとは、デジタルアセットの所有権を示す証文で、これによりデジタルアートやアバターなどを売買するビジネスが生まれた。しかし今では、価値があるとは思えないデジタルアートをセレブがこぞって購入し、これにより価格が高騰し、市場が危険な水域に入った。

出典: OpenSea

退屈したサル

サルをモチーフにした「Bored Ape Yacht Club」(上の写真)が破格の値段で取引されている。これはデジタルアートのコレクションで、「ヨットクラブの退屈したサル」というテーマとなっている。1万種類のサルが生成され、それらがNFTとして売買されている。これらの作品は1点が140 ETH (約5200万円)で、常識外の値動きとなっている。

セレブがNFTを購入

何の変哲もないデジタルアートになぜ破格の値段が付くのか議論を呼んでいる。理由の一つが、著名人の影響で、セレブが競ってNFTを購入しているという事情がある(下の写真)。有名モデルParis Hilton(左側の人物)と、トーク番組司会者Jimmy Fallon(右側の人物)は、相次いでBored Ape Yacht Clubを購買した。両者はトークショーで、NFTをプリントアウトしたものを示し、一躍、Bored Ape Yacht Clubの名前が全米に広がった。このようなセレブの“PR活動が”NFT人気を押し上げている。

出典: @jimmyfallon

何のために購入するか

Jimmy Fallonは購入したデジタルアートをTwitterのプロフィール写真として使っている(上の写真、左上のアバター)。NFTを本人を表すアバターとして使っている。高額なNFTをアバターとして使うのは、レアな作品を所有していることを誇示する目的がある。しかし、最終目的は投資のリターンで、NFTを転売して利益を得ることにあるといわれている。このた、プロフィールを“広告塔”として利用し、価格を吊り上げているとの解釈もある。

トランザクションの内容が分かる

Jimmy Fallonが購入したアートは作品番号「#599」(下の写真)で、2021年11月7日に46.6 ETH (当日のレートで約$216,000=約2500万円)で落札している。NFT収集家「collector936」から購入している。このNFTはブロックチェーン「Ethereum」で生成されており、過去のトランザクションすべてが「Block」と呼ばれるデータベースに記録されている。このBlockは公開情報で、誰でもこれを見ることができ、購買に関する全ての情報が分かる。これがブロックチェーンの特徴で、Jimmy Fallonが落札した価格や購入先などを知ることができる。

出典: OpenSea

NFT価格の推移

セレブが競ってNFTを購入している。Jimmy Fallonの他に、ラップ歌手Eminemやバスケットボール選手Steph CurryがBored Ape Yacht Clubを購入した。これらがニュースで報道され、NFTの人気が高まり、価格が上昇している。Bored Ape Yacht Clubの取引価格の推移を見ると(下の写真、折れ線グラフ)、2021年11月ころから価格が上昇に転じていることが分かる。

出典: OpenSea

Bored Ape Yacht Clubとは

Bored Ape Yacht ClubはYuga Labsという団体により開発されたNFTであり、ヨットクラブに属する退屈したサルというストーリーになっている(下の写真)。デジタルアートはプログラムで生成されたもので、170の特徴量を変化させ、1万種類のサルのイメージを生み出した。NFTはEthereumで生成されるトークンで、「ERC-721」という規格に準拠し、データは分散ファイルシステムに格納される。

出典: Bored Ape Yacht Club

NFTの危険性と将来性

デジタルアートの価値の評価は難しいが、特定のNFT価格が常識外の値動きを示している。また、デジタルアートを盗み、それをNFTに変換した模造品の販売が広がり、深刻な問題となっている。また、メタバースで、土地というデジタルアセットの購入が進み、不動産ブームが起こっている。米国において、メタバースで危険な投資が広がり、NFTという新しいビジネスモデルが試されている。

米国でNFTブームが続くなか模造品の販売が広がる、メタバースにおける知的財産権の管理が最大の課題

米国でNFT取引がブームになっている。簡単にNFTを生成でき、これを高値で販売して、短時間でリッチになれる。NFTとは、ブロックチェーンで稼働するトークンで、デジタルアセットの所有権を示す。NFTは新しいコンセプトで、その仕組みは正しく理解されていない。このため、NFT売買で不正行為が始まり、消費者やクリエーターが被害にあっている。メタバースでデジタルアセットの販売が始まるが、その知的財産権の管理が大きな課題となる。

出典: OpenSea

NTFでリッチになれる

NFTで短時間に利益を得る行為は「Get-Rich-Quick」と呼ばれ、米国社会で話題になっている。多くの実例が報道され、これがNFTブームを押し上げている。先月、ジョージア州アトランタ郊外に住む二人の女性は、アヒルをテーマとするデジタルアートを創作し、それをNFTとして販売したところ(上の写真)、6時間で12万ドル(約1400万円)の収入を得た。二人は生活費に困る生活をしていたが、収入を土地のローン支払いに充て、差し押さえを回避したと報道された。

NFTが高値で売れる仕組み

このNFTは1万点から成るアヒルのデジタルアートで、「Dastardly Ducks」と命名され販売された。デジタルアートはプログラムで生成され、同じテーマを保ちながら、パターンを変化させることで、1万種類のデジタルアートを生成した。これらがNFT収集家により購入され、短時間で高収入を得た。今では、これらのデジタルアートが、NTF収集家により転売されている。1点の値段は0.0036 ETH (Ethereum) で、今日の相場では 10.60ドルとなる。アヒルのデジタルアートに10ドルの価値があるのか判断が分かれるが、値上がりが期待できるとして、NFTの売買が進んでいる。

NFTとは

NFTとはブロックチェインで構成されるトークンで、デジタルアセットなどの所有権を示す証文となる。NFTのデータは、ブロックチェインの分散データベースで安全に管理される。上記のケースでは、NTFはブロックチェイン「Ethereum」で運用されている。更に、NFTの売買に関する規定は、スマート契約機能「Smart Contracts」でプログラミングされる(下の写真)。アヒルのアートはこの契約に基づき、マーケットプレイス「OpenSea」で売買された。

出典: OpenSea

模造品の販売

NFTという新しい事業モデルで市場が急拡大しているが、同時に、様々な違法行為が発生している。デジタルアートは簡単に複製できることから、その模造品が生成され、マーケットプレイスで販売されている。Eコマースサイトで、ブランド品の模造品が販売されるように、盗用したデジタルアートのNFTが販売されている。しかし、デジタルアートは複製したものと見分けはつかず、犯罪行為を防ぐのは容易ではない。

被害が広がっている

テキサス州サンアントニオに住むアーティストAja Trierは、犬をモチーフにしたデジタルアート「Starry Night Dogs」を制作している。犬の背景が、ゴッホの星月夜「The Starry Night」のデザインで、独特の筆遣いがデジタルアートに取り込まれている。TrierはこのデジタルアートをNFTに変換し、マーケットプレイスで販売している(下の写真)。このデジタルアートが盗まれ、犯罪者はこれをNFTに変換し、マーケットプレイスで販売していることが判明した。

出典: OpenSea

簡単に複製でき被害が広がる

犯罪者は、デジタルアートのファイルをダウンロードし、それをNFTに変換して販売する。デジタルファイルをNFTに変換するプロセスは「Mint」と呼ばれ、ブロックチェインでトークンを生成する作業となる。このプロセスはシンプルで、技術の知識は必要なく、誰でも容易に実行できる。今では、この盗用作業がソフトウェア・エージェント(Bot)で実行され、被害が広がる要因となっている。

模造品への対応

クリエーターは、自分の作品がコピーされ、NFTとして販売されていれば、そのサイトの管理者に連絡し、それを取り下げてもらう措置を取る。また、NFTが取引されるマーケットプレイスは数多くあり、これらのサイトで模造品の販売をチェックする必要がある。消費者は、NFTを購入する前に、デジタルアートの持ち主を確認し、被害を防ぐことが求められる。NFT市場が拡大するが、消費者を保護する仕組みは無く、詐欺にあわないためには、自分で防衛するしか手は無い。

メタバースが抱える最大の課題

メタバースではデジタルアセットの売買が主要な収入源となると期待されている。デジタルアセットは、デジタルアートの他に、写真(下の写真)やコレクタブルなどが対象となる。これらがNFTとして売買されるが、模造品による犯罪行為が懸念されている。簡単に複製できるデジタルアセットを如何に安全に取引できるかが課題となる。

出典: OpenSea

NFTの法的解釈】

デジタルアートとNFTの関係

NFTは新しいコンセプトで、これに関連する知的財産権(著作権や商標権など)の理解が進んでいないことが、被害を拡大する要因となっている。NFTの売買条件は「Smart Contract」で規定されるが、多くのケースで、NFTだけを購入する条件となっている。具体的には、購入者は、NTFとデジタルファイルを得るが、デジタルアートの知的財産権は含まれていない。つまり、NFTを購入しても、デジタルアートの知的財産権を得ることはできない。現実社会でのアート取引とは異なり、購入者はNFTを得るが、デジタルアートの所有権を得るわけではない。NFTを購入する際は、NFTを高値で購入してもアートの所有者にはなれないということを理解しておく必要がある。

模造品の販売は違法ではない?

NFTに関する法整備が進んでいない現在では、NFTの模造品を販売することの法的解釈が議論となっている。犯罪者は、デジタルアートを盗んで、それを販売しているのではなく、そのNFTを販売している。NFTには知的財産権は含まれおらず、犯罪者は制作者の知的財産権は侵害していないという議論がある。知的財産権は製作者が所有し、犯罪者はその証文であるNFTというトークンだけを販売している。ブロックチェインが内包する問題の一つで、これから議論を進め、関連法令の整備が必要となる。

Meta(Facebook)は世界最速のスパコンを開発、AIとメタバースは高性能プロセッサが勝敗を分ける

Meta(Facebook)は、今週、スパコンを開発していることを明らかにした。最大性能は5 Exaflopsで世界最速のマシンとなる。Metaが独自でスパコンを開発するのは、AIとメタバースの開発で、大量の演算処理が必要になるため。AI開発ではアルゴリズムの規模が巨大化し、その教育には高速プロセッサが必須となる。メタバースはAIと密接に関連し、3D仮想社会を生成するには、高精度なコンピュータビジョンが求められる。

出典: Meta

スパコンの概要

Metaは、スパコンを「AI Research SuperCluster(RSC)」(上の写真)と呼び、AI研究のための高速計算機と位置付ける。今年中旬の完成を予定しており、演算性能はExaflopsを超える。(Exaflopsとは1秒間に10の18乗(10^18)の演算を実行する性能。) 現在、最速のマシンは442 Petaflops (0.442 Exaflops)で、ついにスパコンがExaの領域に入ることになる。

研究テーマ

スパコンは、名前が示しているように、AI研究で使われる。Metaは、自然言語解析(Natural Language Processing)やコンピュータビジョン(Computer Vision)の開発をスパコンで実行する。これらAIモデルはアルゴリズムが巨大化し、その教育で大規模な演算が発生する。パラメータの数が1兆個を超え、もはや、スパコン無しにはAIを開発することができない。

自然言語解析:有害コンテンツを検知

自然言語解析はソーシャルネットワークの有害情報(Harmful Contents)を検知するために使われる。FacebookやInstagramで、フェイクニュースやヘイトスピーチが拡散し、社会問題となっている。今では、ワクチンに関する偽情報が拡散し(下の写真)、ワクチン忌避者が増えている要因とされる。これら有害情報をAIで正確に検知する技術は確立されておらず、ソーシャルネットワークの責任が厳しく問われている。

出典: Meta

Few-Shot Learning

AIが有害情報を正確に検知できない理由は、教育データが不足しているため。アルゴリズムを教育するには、大量のデータを必要とするが、有害情報に関するデータは少ない。例えば、ワクチンに関する偽情報は、少ないだけでなく、その内容は短期間で移り変わる。このため、Metaは少ない事例でAIを教育する「Few-Shot Learning」という技法を開発している。このモデルで判定精度を上げるためには、アルゴリズムのサイズを大きくする必要があり、AIが巨大になる。大規模なモデルを教育するためにスパコンが必須のインフラとなる。

コンピュータビジョン:メタバースの開発

次世代プラットフォームであるメタバースを開発するために、スパコンが必要となる。メタバースは3D仮想社会で、利用者はアバターを介し、オブジェクトとインタラクションする(下の写真)。メタバースにアクセスするためにAR・VR・MRグラスが使われ、デバイスに仮想社会が生成される。高品質な仮想社会を生成するためにコンピュータビジョンが重要な役割を果たし、この開発でスパコンが必須となる。

出典: Meta

システム構成

スパコンのプロセッサにはNvidiaのAIシステム「NVIDIA DGX A100」(下の写真)が使われる。このシステムはNvidiaの最新プロセッサ「A100」を8台搭載した構成で(①の部分)、高速ネットワーク「InfiniBand」で通信する。スパコンは16,000台のA100を搭載し、最大性能は5 exaflopsとなる。スパコンはDGXを連結したクラスタ構成で、AI Research SuperClusterと呼ばれる。

出典: Nvidia

巨大テックがAIスパコンを開発

アルゴリズムが巨大化の道をたどり、AI開発ではスパコンが必須の計算環境となる。Googleは大規模アルゴリズムの開発でAIクラスター「Cloud TPU」を使っている。Microsoftは独自でAIスパコンを開発し、大規模言語モデルを開発している。これからは、メタバースの開発で高速プロセッサが必須となり、スパコンの用途が拡大することになる。

Meta(Facebook)はNFT市場に参入か、メタバースでデジタルアセットの販売を計画

Meta(Facebook)は、NFT市場に参入し、メタバースでデジタルアセットを販売することを計画している。NFTとはNon-Fungible Tokenの略で、デジタルアセットなどモノの所有権を示す証文(Token)となる。簡単に複製できるデジタルアセットにNFTを付加し、ブロックチェインで商取引を実行する。デジタルアートが破格の価格で取引され、NFT市場がにわかに注目を集めている。

出典: Meta

MetaのNFT計画

これはFinancial Timesが報道したもので、MetaはNTF市場に参入し、ここでコレクタブルを販売することを計画している。具体的には、Meta配下のFacebookとInstagramは、利用者のプロフィールにNFTを掲載する機能を搭載する。また、利用者が、これらソーシャルメディアで、NFTを生成することもできる。更に、MetaはNFTのマーケットプレイスをオープンし、ここでNFTの売買を行う。実際に、Metaが発表したメタバースには、NFTを購買するシーンがあり(上の写真)、最終的には仮想社会でデジタルアセットの販売で使われる。

NFTとは

そもそもNFTとは、ブロックチェインで構成されるトークンで、デジタルアセットなどの所有権を示す証文となる。NFTのデータは、ブロックチェインの分散データベースで安全に管理される。現在、NFTで使われるブロックチェインは「Ethereum」が殆どで、事実上の業界標準となっている。NFTは、Ethereumのスマート契約機能「Smart Contracts」を使い、インテリジェントに処理を実行する。事前に設定されたルール(契約)に基づき、人間の介在無しに、ソフトウェアが売買のトランザクションを実行する。NFTにより、デジタルアセットの所有権が証明され、デジタルアセットの売買をクラウド上で実行できる。(厳密には、NFTはトークンであるが、今では、NFTが付与されたデジタルアセットもNFTと呼んでいる。)

NFTマーケットプレイス

NFTの市場規模は400億ドルといわれ、その規模が急拡大している。NFTはマーケットプレイスというわれるサイトで売買される。この市場のリーダーは、ニューヨークに拠点を置く新興企業OpenSeaで、NFTブームで急成長している。OpenSeaは、オンラインサイトでNFTを生成する機能を提供しており、クリエータはここでデジタルファイルをNTFに変換する。生成したデジタルアセットをマーケットプレイスに掲載して販売する。このサイトには、デジタルアートやコレクタブルなど、幅広いNFTが掲載されている。OpenSeaはEthereumで構成されたシステムで、売買は暗号通貨「ETH(Ethereum)」などで実行される。(下の写真、OpenSeaに掲載されているデジタルアート、希望価格は2 ETH (5,456.42ドル)で、オークション方式で販売されている。)

出典: OpenSea

NFTの生成方法

NFTは誰でも簡単に制作することができる。OpenSeaのケースでは、作成画面の指示に沿ってデータを入力していくと、NFTを生成できる。イメージやビデオやオーディオなどをNFTに変換することができる。これらデジタルファイルをアップロードして、NFTに変換するプロセスとなる。この処理は「Mint」といわれ、デジタルファイルに所有者を証明するトークンを生成する作業となる。生成されたトークンはブロックチェインに安全に保管される。Mintのプロセスは有料で、利用者は処理費用「Gas Fee」を支払う。生成したNFTをマーケットプレイスで販売するが、作品が売れると手数料を支払う構造となる。

デジタルアートが高値で売れる

デジタルアートが高値で売れ、NFTブームが続いている。先月、NFTマーケットプレイスNifty Gatewayで、デジタルアートが91,806,519ドル(約104億円)で販売された。これはPakが制作した「Merge」という作品で(下の写真)、コンピュータで制作され、デジタルファイルとして売られた。ファイルには証明書NFTが添付され、これがアートの所有権を示す。(「Merge」は312,686のユニットから構成され、28,983人が購入した。一つのデジタルアートが312,686のNFTで構成されるという特異な構成。作品が転売されるごとにトークンがマージ(Merge)し、その数が減り、作品の価値が上がると説明している。)

出典: Merge by Pak

NFT市場の危険性

今では、アートやコレクタブルや写真などがNFTで販売され、デジタルアセットが投資の対象となっている。株式取引とは異なり、NFTへの法規制は無く、トランザクションで詐欺や不正行為が発生しているのも事実である。生まれたての技術で、新しいビジネスモデルが市場で試されている段階で、NFT購入には高度な判断が求められる。

メタバースで都市開発が進む!!仮想社会で新たな経済モデルが生まれる、購入した土地に施設を建設し事業を興す

メタバースで都市開発が始まった(下の写真)。メタバースとは、インターネットに構築された3D仮想社会で、ここに現実社会のように街が生まれている。メタバースで土地を購入し、施設を建設し、ビジネスを興す。テーマパークを建設しアドベンチャーゲームを始める。音楽ホールを造るとコンサートを開催できる。現実社会のデジタルツインともいえる仮想都市で、ビジネスが始まり、メタバースの経済構想が見えてきた。

出典: Sandbox

仮想都市の開発

3D仮想空間で都市開発を手掛けているのはSandboxという新興企業で、メタバースで新しい事業モデルを生み出している。Sandboxは、仮想社会のゲームを通して、メタバースを開発する手法を取る。個人や企業は、仮想社会でゲームやデジタルアセットを開発し、これらを販売することで収益を上げるモデルとなる。

メガシティ

メタバースに大都市「Megacities」が建設され、企業や著名人や個人が土地を購入し、事業を始めている。Sandboxにログインしてマップを見ると、メガシティの見取り図が示される(下の写真)。土地は区画で仕切られ、その大きさは96×96フィートとなる。この区画を単一、または、複数購入することができる。大地主はアイコンで示されている。2021年には、12,000区画の土地が販売され、累計で8,000万ドルの売り上げとなっている。Sandbox全体では、166,464区画整備され、累計で5億ドルの資産を保有していることになる。

出典: Sandbox

自宅を建設

土地を購入すると、ここに自宅を建てて、生活することができる。家屋のデザインを決め、提供されているツールで建物を建設する(下の写真)。屋内には、家具や調度品を配置し、生活できる環境を整える。現実社会と同じように、不動産が値上がりすれば、売って利益を得ることができる。また、著名人の住宅の近くに土地を買えば、値上がりする可能性が高いとも言われる。

出典: Sandbox

事業モデル

人気ラッパーのスヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)は、メタバースに土地を買い(一つ上上の写真、中央部)、ここに大邸宅を建設した(下の写真)。庭には広いプールがあり、愛用しているクルマが駐車されている。ここに友人を集めてパーティーを開くことができる。また、コンサート会場としてライブイベントを開催できる。実際に、スヌープ・ドッグはライブイベントを開催する予定で、そのチケット「Private Party Pass」の販売を開始した。また、スヌープ・ドッグのアバターや、愛用しているクラッシックカーは、デジタルアセットとして販売されている。このように、メタバースでは、土地への投資、イベントの開催、デジタルアセットの販売で、事業を運営する。

出典: Sandbox

メタバース開発ツール

購買した土地に建物を建設し、ビジネスを興すためには、Sandboxが提供しているツールを利用する。これは、「VoxEdit」と「Game Maker」と呼ばれ、コーディングすることなく、オブジェクトを生成することができる。エンジニアでなくても誰でも使える点に特徴がある。

デジタルアセットの開発

VoxEditはデジタルアセット「ASSET」を生成するツール(下の写真)。デジタルアセットとは、仮想のオブジェクトで、アバターや衣服などが含まれる。具体的には、ASSETは4つのクラスから構成され、Entity(人間や動物などのキャラクタ)、Equipment(ゲームで使う刀などの武器)、Wearable(シャツやジーンズなどの衣服)、Art(アートワークなどの装飾品)となる。生成したアセットはNFT(Non-Fungible Token)というトークンに変換される。NFTとはコンテンツの所有者を証明するトークンで、コンテンツの所有権を示す証文となる。これにより、コンテンツの取引が可能となり、メタバースでNFT取引がブームとなっている。NFTに変換されたデジタルアセットは、Sandboxのマーケット「Marketplace」で取引される。

出典: Sandbox

ゲームの開発

Game Makerはメタバースで様々なアクティビティ「Experiences」を生成するツール(下の写真)。アクティビティの中心がゲームで、Game Makerは生成したASSETを使ってゲームを作成する。また、ゲームの他に、NFTを販売するギャラリー「NFT Gallery」や、住民が集う施設「Social Hub」を作成するためにも利用する。また、自宅を建設するときもGame Makerを使う。

出典: Sandbox

ゲームの種類

既に多くのゲームが開発されプレーされている(下の写真)。ゲームは二種類に分類され、アドベンチャーゲーム「Action Adventure」とパズルゲーム「Puzzle Games」となる。前者は敵と戦いながら目的を達するゲームで、後者はパズルを解きながら謎を解明するゲーム。これらのゲームは無料でプレーできるが、ゲーム内でデジタルアセットを購買するモデルとなる。

出典: Sandbox

デジタルアセットの販売

デジタルアセットの販売サイト「Marketplaces」には、数多くのNFTが掲載され、取引されている。これらはVoxEditで生成されたもので、人気キャラクターやグッズを中心に売買されている。メタバース向けのデジタルアセットを開発しているLululandは、ゲーム内で使うWearablesを販売している。白色のスニーカー「White Angel」は777.00 SANDで販売されている。ドルに換算すると$3,760.68となる。「SAND」とはSandboxが開発した固有の暗号通貨で、今日の交換レートは1 SAND = 4.81ドルとなる。

出典: Sandbox

クリエーター経済

これらのゲームやデジタルアセットはSandboxが提供するツールで開発された。ツールはNoCode(ノーコード開発プラットフォーム)で、プログラミングの知識なしに、誰でも簡単に使える仕様となっている。このため、クリエーターやデザイナーやアーティストなどが(下の写真)、これらのツールを使ってゲームを開発し、デジタルアセットを生成している。クリエーターたちはメタバースで事業を興し、収入を得る手段を得た。これは、クリエーター経済「Creator Economy」と呼ばれ、メタバースの新しい経済構想として注目されている。

出典: Sandbox

Sandboxのシステム構成

Sandboxは、ブロックチェイン「Ethereum」に構築された仮想社会。このプラットフォームで、土地やデジタルアセットが売買され、ゲームがプレーされる構造となる。「SAND」はSandboxが開発した暗号通貨で、メタバース内での決済で使われる。「LAND」はメタバースの一部で、「ASSET」はユーザが生成したオブジェクトで、「GAME」はこれを組み合わせたものとなる。これらはEthereumで稼働するトークンで、Sandboxはブロックチェインを基盤とするシステムと位置付けられる。現在のSandboxはアルファ版で、2022年第一四半期に正式製品が公開される。

ハイプかリアルか

メタバースで土地が高値で取引され、アートギャラリーでNFTの販売が好調である。インターネットにメタバース経済圏が出現し、新しいビジネスが続々と立ち上がっている。ベンチャーキャピタルは強気の姿勢で投資を進めている。一方、ウォールストリートは、成り行きをウォッチしているが、慎重なポジションを取っている。メタバースはハイプで終わるのか、それとも、巨大ビジネスとして開花するのか、2022年は節目の年となる。