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中国AIモデルは激安という時代は終わった!!Moonshot AIはKimi K3をオープンソースとして公開、性能は米国フロンティアモデルとほぼ同じ、利用料金も米国モデルと同レベル

中国のAI企業Moonshot AIは旗艦モデル「Kimi K3」をリリースし、そのウエイト(Weights、重み)を公開した。いわゆるオープンソースで、だれでも自由にこのモデルをダウンロードして利用することができる。Kimi K3は巨大なモデルで、パラメータ数は2.8T(兆)で、性能はOpenAIの「GPT-5.6 Sol」と同等レベルとなる。利用料金は無償ではなく、クラウド経由でアクセスしたときの価格(API価格)は、OpenAIの75%程度で、利用料金も米国モデルに迫る。中国企業は、オープンソースのフロンティアモデルを相次いで公開しているが、ビジネスモデルを大きく見直し、大幅な料金値上げを行い、これを事業の主軸とする戦略に転換した。

出典: Moonshot AI

Kimi K3とは

中国AI企業Moonshot AIは7月16日、旗艦モデル「Kimi K3」を公開し、7月27日にそのウエイト(Weights、重み)を公開した。Kimi K3は中国で最大規模のモデルで、パラメータ数は2.8T(兆)で、Mixture-of-Experts(MoE)というアーキテクチャを取る。Kimi K3は896の専門モジュール「Experts」から構成され、実行時にはこの中から、16のモジュールが稼働する構成となる。コンテクスト・ウィンドウ(データ処理量)のサイズは100万トークンで、大容量データを処理できる。Kimi K3は、大規模なプログラミング、AIエージェント、知識労働に最適な設計となっている。

Kimi K3の性能

Kimi K3は、米国のフロンティアモデルとほぼ同等の性能で、AnthropicとOpenAIに次ぎ、第四位の順位となる(下のグラフ)。OpenAIの旗艦モデル「GPT-5.6 Sol(max)」は61ポイントで、「Kimi K3(max)」は60ポイントと、その差は1ポイントで、米国モデルをキャッチアップした。コーディング・エージェント機能を評価するベンチ「DeepSWE」では、Kimi K3は、GPT-5.6 SolとFable 5に次いで三位のポジションを占める。Kimi K3は、ソフトウェア開発とエージェント機能が大幅に強化された。

出典: Artificial Analysis 

Kimi K3の規模

Kimi K3は中国で最大規模のモデルで、パラメータ数は2.8T(兆)となる(下のグラフ)。前世代モデル「Kimi K2」のパラメータ数は1.04Tで、K3でこれが倍増した。DeepSeekの最新モデル「DeepSeek V4 Pro」のパラメータ数は1.6Tで、これを大きく上回る。これらのモデルはすべて「Mixture of Experts(MoE)」の方式を取り、大型モデルはMoEが標準アーキテクチャとなった。米国企業はパラメータ数を公開しておらず、直接比較することはできないが、GPT-5.5は9.7Tと言われている。つまり、Kimi K3はGPT-5.5の30%程度の規模で、同等の性能をマークし、モデルは極めて効率的なアーキテクチャとなっていることを示している。

出典: Moonshot AI

Kimi K3の利用料金

Kimi K3を利用するには、Moonshot AIのサイトでモデルのAPIにアクセスするのが、標準手法となる。Moonshot AIがホスティングしているKimi K3を利用する方式で、その利用料金は下記のテーブル(左端)となる。InputとOutputで、それぞれの料金は、$3.00 / MTokと$15.00 / MTokとなる。これをOpenAIのGPT-5.6 Solと比較すると、Kimi K3の料金は75%と設定されている。ほぼ同等の性能を25%引で利用できるが、激安料金というわけでは無い。

出典: Moonshot AI

Kimi K3の実質価格

API価格で比較すると、Kimi K3はGPT-5.6 Solの75%に設定されているが、実際にタスクを実行したときの実質価格「Cost per Task」は大きく異なる。特定のタスクを実行したときに発生するコストを比較すると、Kimi K3(max)は$0.84で、GPT-5.6 Sol(max)は$0.95となる(下のグラフ)。Kimi K3の実行価格はGPT-5.6 Solの88%で、その差は更に小さくなる。これは、同じタスクを実行するとき、GPT-5.6 Solは少ないトークンでタスクを完了できることを意味する。

出典: Artificial Analysis

Moonshot AIは米国で事業を開始

Moonshot AIは、米国のクラウド企業と提携して、Kimi K3を米国内でホスティングする事業を急速に進めている。米国のインファレンス・クラウド事業者Together AIと提携し、Kimi K3を米国内で利用できるようにした(下のグラフィック)。Kimi K3をMoonshot AIのクラウドで利用すると、データが中国に送られ、企業はプライバシーやセキュリティに関し、重大な懸念を抱いている。このため、Moonshot AIはTogether AIと提携し、モデルを米国内に閉じて使うことで、この懸念を払しょくし、事業拡大を狙う。この他に、BasetenやFirewaroksなど、クラウド事業者と提携し、Kimi K3を米国内で普及させる戦略を展開している。

出典: Moonshot AI

米国主要クラウドに事業拡大

Moonshot AIは、米国のハイパースケーラである、Amazon AWS、Microsoft Azure、Google Cloudと、Kimi K3のホスティングについて、交渉を開始した。これらクラウドはKimi K3をホスティングし、米国企業にサービスを提供する。API利用料金は、Moonshot AIと同額に設定され、収入の30%をMoonshot AIが徴収するモデルと言われている。Moonshot AIはオープンソース事業を展開するが、収入源の中心は第三者クラウドのAPI利用料金の一部となる。中国のオープンソース事業は、米国のクローズドソースの事業形態に急接近している。(下のスクリーンショット、Google Cloud、自社モデルを中心にホスティング)

出典: Google

セルフホスティング

Kimi K3はオープンソースであり、AIレポジトリ「Hugging Face」からダウンロードして、無償で利用することができる(下のグラフィック)。K3は巨大なモデルで、ファイルサイズは1.56 TBで、118のファイルから構成される。これを実行するためには、4ユニットのH100又はA100が最低条件で、VRAMの容量は320GBとなる。Macなど消費者向け製品では稼働できず、専用のGPUサーバが必要となる。セルフホスティングのケースでは、Kimi K3のライセンス料は無料であるが、GPUサーバなど、計算環境の整備が必要となる。

出典: Hugging Face

中国AIモデルはもう安くない

Kimi K3は大規模モデルで、その開発には多大なコストがかかっている。これを無償、又は、激安価格で提供すると、ビジネスは成立しない。Moonshot AIは、API価格を大幅に値上げし、米国フロンティアモデルと同レベルとなった。中国AIモデルは激安という時代は終わりとなり、米国モデルと性能や価格を比較して、ベストなモデルを選ぶことが求められる。