サンフランシスコは坂の街で、ケーブルカーや路面電車が走行し、観光客が道にあふれる。狭い道路はクルマやバイクやスクーターや歩行者で込み合い、高度な運転スキルが求められる。自動運転車にとって、全米の都市の中で最も高度な技術が求められ、ここが開発の最終ゴールとなる。試験走行はJaguar Land RoverのEVモデル「I-Pace」で行われる(上の写真)。
カリフォルニア州で多くの企業が自動運転車の走行試験を実施している。このためにはDMV(Department of Motor Vehicles、州の陸運局)で公道を試験走行するための認可を受ける必要がある。現時点で、55社が自動運転車の走行試験を実施している。更に、自動運転車で営業運転するためには、CPUC(California Public Utilities Commission、公益事業を管轄)で認可を受ける必要がある。商用運転免許を取得してた企業はWaymoの他に、CruiseやZooxなど7社となる。Zooxはサンフランシスコで自動運転車を公開したところで、Waymoの発表はこれに対抗するという狙いもある。
Muskはロボタクシー収益の詳細を明らかにしていないが、今までの情報を元に計算すると次のようになる。ロボタクシーの料金は0.5ドル/マイルで、Uber料金の半額に設定される。ロボタクシーが年間45,000マイル走行すると、売上金額は22,500ドルとなる。テスラはサブスクリプション料金としてこの30%を徴収し6,750を得る。これを6年間運用すると、テスラの収入は40,500ドルとなる。Tesla Model 3(先頭の写真)の車両価格は47,900ドルで、ロボタクシーが車両価格と同等の収入を上げることになる。
Tesla CEOのElon Muskは中国・上海で開催されたAIイベントで、完全自動運転車を今年末までにリリースすることをビデオメッセージで表明した。これは「Full Self-Driving」と呼ばれ、レベル5の自動運転機能で、ドライバーの介在無しにクルマが自律的に走行する。また、これを支えるAIについて、基本機能は問題ないが、まだ解決すべき課題があることも明らかにした。
Full Self-Drivingは高度な自動運転機能で、高速道路や市街地を自動で走行する。高速道路では、入り口から出口まで自動走行し(Navigate on Autopilot)、車線変更も自動で行う(Auto Lane Change)。また、自動で駐車する機能や、駐車場からドライバーのところに自動で移動する機能もある(Smart Summon)。更に、市街地においては信号を認識し、自動で走行する。これは「Autosteer on City Streets」と呼ばれ、完全自動運転車の中核機能となる(下の写真)。この機能は2020年末までにリリースされる予定で、これでレベル5の完全自動運転車が完成する。
DeepMindはAutoML方式を改良したシステム「Population Based Training (PBT)」を開発した。Waymoは2019年7月、この方式で自動運転アルゴリズムを開発し、性能が大きく向上したことを明らかにした。PBTもRandom
Searchでハイパーパラメータを探すが、ここにダーウィンの進化論(Theory of Evolution)を適用し、自然淘汰の方式で最適な解にたどり着く。複数のニューラルネットワークが性能を競い合い、勝ったものだけが生き残る方式を採用している。