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Google Duplexは本当に便利!! 人間に代わりAIが電話してレストランを予約

人間過ぎるAI「Google Duplex」がリリースされた。Duplexは人間のように会話できるAIで、レストランの店員と話して席を予約する。仮想アシスタント「Google Assistant」に予約を指示すると、背後でDuplexが働いてタスクを完遂する。Duplexを使い始めたが予想以上に便利な機能だ。

出典: VentureClef

レストランを予約

レストランを予約するにはGoogle Assistantにその旨を指示する。「Okay Google」と呼びかけるとGoogle Assistantが起動し、対話を通してレストラン名や日時や人数を告げる(上の写真、左側)。最後に、Google Assistantは予約内容を示し、これを確認して「Yes」というだけで予約プロセスが完了する(上の写真、右側)。

Duplexが電話を掛ける

この直後、Duplexが起動しレストランに電話をする。上記のケースでは開店前で、まだ店は空いてなかった。このため、Google Assistantは「今は営業時間外なので15分後に電話する」とのメッセージを表示し、待機している旨を伝えてきた。その後しばらくすると、「予約が完了した」とのメッセージがスマホのロックスクリーンに示された(下の写真、左側)。このメッセージに従って、Google Assistantをオープンすると予約画面が示され、予約が完了したことを確認できた(下の写真、右側)。ここには、その場所までの道順も表示される。

出典: VentureClef

店員さんの反応

予約時間にレストランに行き、店員さんに名前を告げると、予約を確認してテーブルに案内してくれた。店員さんに、この予約は私ではなくAIがしましたと説明したが、気に留めている様子はなかった。話していくうちに、店員さんは人間と話して予約を受け付けたと思っていたことが分かった。Google Duplexは最初に自分は仮想アシスタントであることを名乗るが、忙しい店員さんは気付かなかったのかもしれない。

小さなレストラン

この日はネパール料理のレストラン「Aroma House」を予約した(下の写真、右端の店)。レストランというよりは小さな食堂で、ネパールの本場の料理が揃っている。このように小さな店はOpenTableなどの予約サービスは扱っていない。予約するには電話しか手段はなく、ここでGoogle Duplexが役に立つ。因みに、ここはネパール人の交流の場となっているのか、狭い店内で多くの家族がひしめき、団欒を楽しんでいるようだった。

出典: VentureClef

Duplexが便利な理由

レストラン予約はOpenTableが定番アプリで、いつでも簡単に予約できる。しかし、OpenTableなどの予約サービスを使っていないレストランは少なくない。Aroma Houseのような小さな食堂だけでなく、腕に自信のあるグルメレストランなども、予約は電話で受け付ける。電話だと、このケースのように営業時間以外だと繋がらない。また、開店中であっても店内が忙しい時には、電話してもつながらない。このような時でもGoogle Duplexは実直にタスクを実行し、そのありがたみを実感する。

Duplexの仕組み

DuplexはGoogle Assistantのバックエンド機能として実装される(下のグラフィックス)。Google Assistantにレストランの予約を指示すると、その背後でDuplexが稼働しこれを実行する。実際に、Duplexが店舗に電話を発信し、相手と対話しながらテーブルの予約を入れる。予約が済むとその内容はGoogle Assistantから利用者に示される。

出典: Google

人間に近づき過ぎたAIの評価

Duplexはレストラン予約の他にヘアサロンの予約もできる。このサービスはサンフランシスコやニューヨークなど地域を限定し、また、Googleブランドのスマホ「Pixel」だけで展開している。一般にリリースされたが、まだ使える範囲は限られている。Duplexは人間過ぎるAIとの批判もあり、その機能を市場がどう受け止めるのか、Googleはそれを検証しながら慎重に展開しているように思える。

Google系Calicoはヒトの寿命の伸ばす研究を進める

CalicoはAlphabetの子会社でSouth San Francisco(カリフォルニア州)に拠点を置き、ライフサイエンスの研究を進めている(下の写真)。老化と健康な生活がテーマで、ヒトの寿命を延ばす基礎研究を展開。Calicoは2013年に設立され、Apple社の会長であるArthur LevinsonがCEOを務めている。

出典: Google  

ミッション

Calicoは老化とそれに関連する病気の解明を目指している。ヘルスケアとライフサイエンスに関する”アポロ計画”で、人々の健康を改善することをミッションとする。Calicoはベル研究所(Bell Labs)に例えられる。ベル研究所で半導体が開発され情報処理産業が誕生したように、Calicoの寿命を延ばす研究がライフサイエンスのブレークスルーとなることを目指している。

組織構造

Calicoは加齢(Aging)をバイオロジーの分野で解決されていない基礎課題と位置づける。Calicoは大学のような研究機関を企業が運営する構造で、事業化ではなく基礎研究が活動の中心となる。Calicoは製薬企業と提携し、研究成果を実際の製品に応用する。研究資金はAlphabetと提携企業が拠出する。Calicoは現代版ノアの箱舟(Noah‘s Ark)ともいわれ、酵母、虫、希少動物などを集め加齢の研究を進めている。

研究成果を公表

Calicoは研究内容を殆ど公開しておらずステルスモードで活動してきたが、2016年頃から論文の公開が始まり、研究の一端が見えてきた。Calicoは2018年1月、論文「Naked mole-rat mortality rates defy Gompertzian laws by not increasing with age」を公開し、ラットを使い加齢の研究をしていることを明らかにした。

Naked Mole-Ratの研究

論文によるとNaked Mole-Rat(ハダカデバネズミ、下の写真)はGompertz’s Mortality Lawに従わず長寿であることが実証された。Naked Mole-Ratとはネズミの一種であるが際立った特性を持っている。体には殆ど毛が生えておらず奇妙な外見をしている。地中で生活し、体温は外気の温度に従って変化する外温動物(Ectothermic)である。Naked Mole-Ratは殆どガンを発症することなく、18分間、酸素無しで生存できる。

出典: Jedimentat44 on Wikipedia

長寿のメカニズム

一般にネズミの寿命は6年程度であるが、Naked Mole-Ratの寿命は30年を超えることが知られている。Naked Mole-Ratは閉経が無く、一生にわたり生殖し子供を産むことができる。心臓や骨は老化することなく、若い状態を保っている。CalicoはNaked Mole-Ratを対象に長寿のメカニズムを解明する研究を進めている。

年齢と死亡率

CalicoはNaked Mole-Ratを3000匹調査し、その多くが30年生存することを把握した。哺乳類の死亡率は生殖期間を過ぎると幾何級数的に増大する(下のグラフ)。この現象をGompertz’s Mortality Lawと呼ぶ。人間の場合は30歳を過ぎると、8年ごとに死亡率が倍増する(下のグラフ右側、水色の線)。しかし、Naked Mole-Ratはこの法則には従わず、年齢を重ねても死亡率が変わらない(下のグラフ右側、緑色の線)。(下のグラフの横軸は相対年齢(子供を生める年齢を1とする)で、縦軸は死亡率を示している。)

出典: J Graham Ruby et al.

メカニズムの解明

論文はNaked Mole-RatはGompertz’s Mortality Lawに従わず、年を取らないと結論付けている。Naked Mole-Ratは実験で使われ、その途中で死亡することが多く、長期間飼育したデータが不足している。次のステップは、これを確認するために、多くの検体を長期間飼育し、その実態を明らかにすることとなる。更に、Naked Mole-Ratの長寿のメカニズムを解明することが最終目的となる。

AbbVieとの共同研究

CalicoはAbbVieと密接に共同研究を進めている。AbbVieとは製薬大手Abbott Laboratoriesから分離独立した会社で、バイオ医薬品会社として基礎研究を推進する。Lake Bluff(イリノイ州)に拠点を置き、シリコンバレーなどに研究施設を持っている。  

研究予算

Calicoは2014年からAbbVieと加齢に関し、ガンや神経変性疾患(neurodegenerative diseases)を対象に研究を推進している。2018年6月には、両者は共同研究に10億ドルを出資することで合意し、累計研究予算は25億ドルとなった。両社は既にガンや神経変性疾患に関する20件以上の研究プログラムを進めている。

研究と商品化

両社の間で役割分担が決まっており、Calicoは2022年までに基礎研究と初期ステージの開発を司る。また、Calicoは2027年までにPhase 2(小規模な臨床試験)の開発を担当する。一方、AbbVieは後期ステージの開発を受け持ち、製品化を担当する。加齢に関する研究はバイオ医療企業にとって重要なテーマで、老化に伴う病気を治療する技術の確立を目指している。

Oracleの試み

加齢に関する研究は多くの著名人が資金を投じ、その解明を進めてきた。Oracle創設者Larry Ellisonは非営利団体「The Ellison Medical Foundation」を設立し、医療技術の研究を推進している。中心テーマが加齢に関する研究で、Ellisonは3億ドル超を出資しブレークスルーを目指した。しかし、この研究は中止となり、研究資金はポリオに関する研究に振り向けられた。加齢に関する研究に注目が集まるが、動物が年を取るメカニズムの解明には至っていない。

リスク要因

人間の平均寿命は150年前までは40歳程度であったが、今では80歳程度に倍増した(下のグラフ)。これはワクチンの登場や食生活の改善によるところが多い。しかし、現在ではガン、心臓疾患、脳卒中、認知症が最大のリスク要因となり、これらが平均寿命の延びを抑えている。これらの病気はいずれも加齢により発症する。

出典: Our World in Data

加齢プロセスの解明

これらの病気を一つづつ解明して、治療方法を探る研究が続いているが、この研究は上手く進んでいるとは言い難い。その理由は、生物学的な加齢のメカニズムが理解されていないためで、病気治療は加齢のプロセスを抑えることでもある。Calicoはこのゴールに向かい、加齢という最大のリスク要因を解明するための研究を進めている。

Waymoはシリコンバレーで無人タクシーの走行試験を開始、ロボットカーが公道を走る

Waymoはカリフォルニア州で自動運転車を無人で運行するための認可を受けた。自動運転車の試験走行ではセーフティドライバーの搭乗が義務付けられているが、これにより無人の車両を公道で走らせることができるようになった。Waymoが認可を受けた最初の企業となり、無人タクシーの営業運転が視野に入ってきた。

出典: Waymo

Waymoの開発経緯

Waymoはカリフォルニア州で2009年から自動運転車の走行試験を展開してきた。当時はToyota PriusやLexusに自動運転技術を搭載し開発が進められた。2015年に、Waymoはハンドルのない自動運転車「Prototype」を開発しLevel 5の自動運転技術の開発を始めた。2017年には、WaymoはFiat Chryslerと提携し、Pacific Minivanをベースとした自動運転車(上の写真)の開発に方向転換した。

アリゾナ州での実証試験

Waymoはシリコンバレーだけでなく全米25の都市で試験走行を展開している。アリゾナ州フェニックスでは、既に、セーフティドライバーが搭乗しない無人タクシーの実証試験を進めている。今年末からは、有料サービスを開始するとしており、無人タクシーの商用運行が始まる。今回の認可でWaymoはカリフォルニア州においてもこれに追随する形となる。

カリフォルニア州での試験条件

カリフォルニア州においてWaymoは限られた条件の下で無人タクシーの試験を実施する。走行地域はWaymoの拠点であるMountain Viewを中心とした地域に限定される(下の写真、青色のシェイドの部分)。自動運転車は昼間だけでなく夜間も走行できる。また、気象条件としては霧や小雨の時も走行できる。これらの条件が発行された認可証に規定されている。クルマは許可された域内であればどこでも走れるが、Waymoは最初は走行場所を限定して試験を始め、自信がつくと試験範囲を拡大するとしている。

出典: Waymo  

問題が発生すると

試験走行中に無人車両で問題が発生すると、規定された手順に従って対応策を取る。もし、自動運転車が状況を理解できない状況に陥ると、クルマは安全に停止して規定のプロセスに従う。クルマが自分で問題を解決できない際は、監視センターにコンタクトして、サポートを受ける仕組みとなる。具体的には、センターの監視員が遠隔操作でクルマを路肩など安全な場所に移動させ、道路の通行を妨げない措置を取る。クルマは無人で走行するが、監視センターが運行状況をモニターする。

カリフォルニア州政府の判断

カリフォルニア州では既に60社近くが自動運転車の走行試験を展開している。自動運転車を運行する際はセーフティドライバーが搭乗し、緊急事態に備えることが義務付けられている。カリフォルニア州は2018年4月、これを改定し、無人車両が公道で走行試験を実施できる法令を制定した。一部の識者からはクルマを無人で走行させることに対する懸念が表明されるなか、カリフォルニア州は技術進化と安全性のバランスを取りながら法令制定に踏み切った。全米では既にアリゾナ州やフロリダ州で無人車両の試験走行が認められている。多くの自動運転車ベンダーが拠点を置くカリフォルニア州はハイテクで首位の座を守るためにもこの措置に踏み切った。

消費者の反応

技術開発が進む中、米国の商品者は自動運転車を信頼していないという厳しい事実がある。元々、米国の消費者は自動運転技術に懐疑的であったが、UberやTeslaの自動運転車が相次いで事故を起こし、この流れが決定的になった。最新の世論調査によると、消費者の40%は自動運転車に乗りたくないと答えている。米国は技術先進国であるが、同時に、消費者の多くは技術を信用していない国でもある。

Waymoの対応策

Waymoは安全なクルマを開発する他に、如何に消費者の信頼を得るかが課題となる。自動運転車開発当初はWaymoは情報を積極的に配信し、著名記者をクルマに乗せ安全性をアピールしていた。しかし、2015年頃から方針を変え、Waymoは自動運転車についての情報発信を抑制的に行っている。自動運転車の新機能や達成した目標などはブログで情報発信するにとどめ、目立ったイベントなどは実施していない。無人タクシーの商用運行で実績を積み、消費者の安心感が広がるのを待つ戦略のようにも思える。

出典: VentureClef  

ロボットカーと一緒に走る

シリコンバレーは自動運転車の実験場で、クルマを運転していると様々な種類の自動運転車に出会う。走っていて一番よく見かけるのはWaymo(上の写真、中央の車両)で、試験車両の台数が多いことが分かる。Waymoの試験走行距離は1000万マイルを超え、技術完成度は他社を大きく引き離しトップを走っている。Waymoの自動運転車と毎日一緒に走行しているが特に不安を感じることはない。しかし、これからはセーフティドライバーが搭乗しないロボットカーが街を走ることになり、何か落ち着かない心持となる。今までと同じアルゴリズムで走行するが、本当に仕様通りに稼働するのか心配でもある。これからはロボットカーと供に暮らすことになり、ドライバーとしては心の準備も必要となる。

Googleは家庭向けロボットを開発!? 先行するAmazonを追随する

Amazonは家庭向けロボットを開発していると噂されている。Googleはこれに対抗して、同じく、家庭向けロボットの開発に乗り出した。Googleは五年前、ベンチャー企業を買収してロボット開発を始めたが、このプロジェクトは頓挫した。GoogleはAmazonに刺激され、ロボット開発を再開し、高度なAIを武器にインテリジェントなシステムを開発している。

出典: Dmitry Kalashnikov et al.

ロボット開発の経緯

Googleは2013年、プロジェクト「Replicant」を発足し、ロボット開発に乗り出した。ロボット開発は「X」(当時のGoogle X)が担い、Andy Rubinが指揮を取っていた。Rubinは「Android Inc.」創業者で、2005年にGoogleが買収し、スマホ事業の基礎を築いた。Rubinはインテリジェント・マシンに興味を持っており、ドイツの製造会社でロボットエンジニアとして働いていた。

ベンチャー企業買収

Googleはロボット企業8社を相次いで買収した。最大規模の買収はBoston Dynamicsで、同社は、軍事支援ロボットとヒューマノイドを開発していた。日本企業でヒューマノイドを開発しているSchaftも買収された。また、コンピュータビジョンをロボットに応用したIndustrial Perceptionや次世代ロボットアームを開発していたRedwood Roboticsも含まれ、Googleはロボット市場に本格的に参入すると見られていた。

開発を中止

しかし、Googleは突然ロボット開発を中止した。Andy Rubinは2014年にGoogleを離れ、その直後、Replicantは活動を停止した。Googleは買収したBoston Dynamicsの買い手を探していたが、2017年、SoftBankが同社を買収することで合意した。これに先立ち、SoftBankは2012年にAldebaran Roboticsを買収し、ロボット事業を開始した。

中止の理由

Googleがロボット開発を中止した理由はロボットを事業化するのが難しいと判断したため。ロボットは配送センターや組み立て工場使われる工業ロボットが中心で、一般社会で使われるサービスロボットの開発には時間がかかる。Rubinは2020年頃に製品を投入する予定でいたが、Google幹部は短期間で成果を求めており、この意識の相違が中止に繋がった。

ロボット基礎研究

Replicant中止の後も、Googleは高度なAIをロボットに適用する研究を進めてきた。Googleはコモディティハードウェアに最新のAI技法を取り込み、インテリジェントなロボットを開発している。具体的には、Deep LearningとReinforcement Learningをロボットの頭脳として使う。Googleのロボット研究施設は「Arm Farm」と呼ばれ(先頭の写真)、10台超のロボットアームが並列に稼働しスキルを学ぶ。

AI研究内容

研究ではロボットアームでドアのノブを回し、それを手間に引いてドアを開けるタスクが実行された (下の写真)。それぞれのロボットはニューラルネットワークのコピーを搭載し、Reinforcement Learningの手法で教育された。行動(Action)を実行するとき、与えられた環境(Sate)で値(Value)を算定し、ロボットはValueを最大にする方向でActionを決定する。ロボットがタスクを実行するときにノイズを加え、それぞれのロボットは異なる環境でタスクを実行する環境を構築する。

出典: Google  

ロボットクラウド

これらのデータはクラウドに収集されネットワークを最適化する。アルゴリズムは収集されたデータからうまく処理できたケースとそうでないケースを検証し、Actionとタスク完遂の関係を把握し、ネットワークを改良していく。このサイクルを繰り返し、ロボットの性能を向上する。ロボットは数時間の教育でドアを開けることができるようになった。

最新のAI研究

Googleは最新のAI技法「QT-Opt(Q-function Targets via Optimization)」を開発した。Arm FarmにQT-Optを搭載するとオブジェクトをつかむ(Grasp)精度が飛躍的に向上する。QT-Optとは分散型Q-Learning(Reinforcement Learningの一つのモデル)で、連続したアクション(Continuous Action)を安定的に処理できる点に特徴がある。

ロボットでモノをつかむ

ロボットはカメラのRGB画像からオブジェクトを把握し、アーム先端のグリップを開きそれをつかむ。ロボットが複雑な形状のオブジェクトを正確につかむためには高度な技法が要求される。これは「Picking Challenge」と呼ばれ、多くの企業や研究機関がこのテーマに挑戦している。いかに正確にかつ高速にモノをつかめるかがロボットの商品価値を決める。

アルゴリズム教育

アルゴリズムはカメラの画像を読み込み、ロボットアームの動きと、グリッパーの開閉を出力する(下の写真、左側)。最初にオフラインでアルゴリズムを教育し、次に、ロボットを稼働させオンラインで教育する。オフライン教育では1000種類のオブジェクトが使われ(下の写真、右側)、ロボットはこれらを580,000回つかむ試験が実施された。完成したアルゴリズムを使い、ロボットの性能を検証したところ、オブジェクトをつかむ成功率は96%と好成績をマークした。

出典: Dmitry Kalashnikov et al.  

研究の意義

アルゴリズムはオブジェクトを正確に掴むことができるほか、操作をインテリジェントに理解する。アルゴリズムは上手く掴めなかったときには、異なる掴み方を自動で学習する。また、オブジェクトを掴む手法を長期レンジで把握する。(下の写真上段:オブジェクトが纏まっているときはそれを崩す(Singulation)ことを自律的に学習する。中段:立っているローソクはつかみにくいのでそれを倒して実行する。下段:軽くてつかみにくいボールはトレイの端に寄せてつかむ。上の写真右側:煩雑な環境でもオブジェクトをつかむことができる。)

出典: Dmitry Kalashnikov et al.  

実社会への応用

Googleのロボット開発はGoogle BrainとXで進められている。GoogleのArm Farmで開発された技術は、ロボットアームだけでなく、ロボットの基礎技術として応用される。実社会には様々な形状のオブジェクトがあり、それに触れた時、オブジェクトの物理挙動も異なる。ロボットを実社会で使うためには多くの課題を解決する必要があるが、これらの研究がその手掛かりとなる。

家庭向けのロボット

Googleは家庭向けロボットの開発を進めていると噂されている。AIスピーカー「Google Home」は人気商品で、多くの家庭で使われている。GoogleはAIスピーカーを駆動型にしたロボットを開発しているとみられている。ロボットは家の中を自律的に走行し、タスクを実行することとなる。

Amazonに対抗

Amazonは「Vesta」という名前でロボットを開発している。これはAmazonの人気商品Amazon Echoを駆動型にしたモデルである。GoogleはVestaに刺激を受け、ロボット開発を再開したとみられる。AIスピーカー市場ではAmazon EchoとGoogle Homeが競い合っているが、今度はロボットで両社が鎬を削る。両社ともロボット技術はまだまだ未成熟であるが、商品化に向けての開発が進み、大きなブレークスルーが期待される。

Google Assistantがバイリンガルに進化、AI家電は多言語対応が必須機能となる

Googleの仮想アシスタント「Google Assistant」がバイリンガルとなった。今までは単一言語しか使えなかったが、これからは二か国の言語で話しかけることができる。Google Homeに、日本語で問いかければ日本語で答え、イタリア語で質問するとイタリア語で答える(下の写真)。世界でバイリンガル家族が増える中、Google Homeはバイリンガルに進化した。

出典: Google

スマホで利用する

バイリンガルのGoogle AssistantはスマートフォンPixel 2で利用できる。この機能を使うには、専用アプリ「Home」で使う言語のペアを設定する(下の写真左側、英語と日本語を選定)。この設定で、東京時間を英語で尋ねると、Google Assistantは英語で答える(下の写真、右側上段)。また、日本語で尋ねるとGoogle Assistantは日本語で答える(右側下段)。英語と日本語の他に、フランス語、イタリア語、スペイン語、オランダ語の六か国語をサポートしており、この中から二つの言語を選びバイリンガル機能として利用する。

出典: VentureClef

Google Homeで利用する

Google Assistantを搭載しているGoogle Homeでバイリンガル機能が威力を発揮する。筆者宅ではGoogle Homeを家電を制御するハブとして使っており、家の中のLEDライトをオン・オフするときに、英語と日本語で指示できる(下の写真左側)。また、テレビを操作するときも、英語と日本語で指示できる(下の写真右側)。

出典: VentureClef  

バイリンガル世帯

Googleが二か国語機能を投入した理由は、米国や世界でバイリンガル家族が増えているためである。米国では全世帯の二割がバイリンガルと言われている。カリフォルニア州では五割を超えると思われる。バイリンガル世帯では家の中で二つの母国語が使われる。例えば、メキシコからの移住が多い米国では、家庭内で英語の他にスペイン語が使われる。今までは、使う言語によりGoogle Homeの設定を変更していたが、これからは一回の設定で二か国語を使うことができる。

バイリンガル技法

Google Assistantは既に多言語に対応しているが、バイリンガル処理に進むには大きな課題をクリアーする必要がある。課題は二つあり、指示された音声の言語を特定することと、リアルタイムで指示内容を把握しアクションを取ること。

音声の言語を特定

Googleは話しことばの言語を特定する技術を2013年から開発している。これは「Language Identification (LangID)」 と呼ばれ、ニューラルネットワークで話しことばの言語を推定する。話しことばを前処理し、それをRecurrent Neural Networkに入力すると、言語の種類を判定する。 (下の写真、「hey thank you for calling me」という話し言葉をLandIDに入力すると、ネットワークは8か国語のうち、どの言語が話されたかを推定する。ネットワークはフレームごとに推定処理を続け、ここでは英語(濃い青色の部分)が話されたと推定。)

出典: Javier Gonzalez-Dominguez et al.

リアルタイム処理

Google AssistantはLangIDで言語を特定すると、次に、その言葉の意味を把握し、指示されたタスクを実行する。このプロセスは大規模な演算が必要となり、それをリアルタイムで実行することはできない。このため、Googleは二つの言語処理を並列で実行しておき、言語の判定結果がでると、その言語の処理だけを実行する。具体的には、言葉が語られると、二組のLangID処理と言語解析を並列で走らせ、その結果をアルゴリズム(Ranking Algorithm)で評価し(下の写真、中央部)、どちらの言語が語られたかを判定する。言語が確定すると、その言語だけを処理し、もう一方の処理は中止する。対象言語の処理は既に途中まで進んでおり、この技法でリアルタイムに応答できるようになった。

出典: Google

GoogleがAmazonを抜く

GoogleはAmazon Echoのアイディアを借用してGoogle Homeを開発した。Amazonが先行しているAIスピーカー市場で、Googleは高度なAIを武器にGoogle Homeの売り上げを伸ばしてきた。ついに形成が逆転し、GoogleがAmazonを抜き首位の座を奪った。2018年第二四半期、Google Homeの出荷台数は540万台で、Amazonは410万台にとどまった。三位と四位にはAlibabaとXiaomiが入り、中国企業が急速にシェアを伸ばしている。AIスピーカー市場ではGoogleが首位を奪うものの、これからは中国企業との戦いとなる。

多言語対応に向かう

Googleはバイリンガルの次にはトライリンガル機能を投入するとしている。更に、対応する言葉の種類を順次増やし、最終的には主要言語の殆どをカバーすることになる。つまり、Google Assistantは言語の制約がなくなり、どの言語で話されてもそれに対応できるよう進化する。これからのAIスピーカーやAI家電はマルチリンガル対応が必須の機能となることを示している。

出典: E&T Magazine

マルチリンガルな案内ロボット

マルチリンガル機能の応用分野は幅広く、ロボットの対話能力を大きく押し上げる。観光案内ロボットが数多く登場し、ツーリストは対話しながら情報を得ることができる。このプロセスでは、まず、会話する言語を入力する必要がある(上の写真、ピョンチャン冬季五輪の案内ロボットで英語か韓国語を選択する)。LangID技法を応用すると、案内ロボットにいきなり話しかけても、AIが言語の種類を把握し、質問された言語で案内する。東京オリンピックではマルチリンガルな案内ロボットが登場し、世界各国からの旅行者のコンシェルジュとなりそうだ。